精神科で隔離されてました03


遠藤は、内線をかけ「あみさん、入院です。」と言い、私は屈強な看護師に連れられ精神科病棟に入った。しかし、父親はナースステーションの手前で止められ、なにかを書かされた。
私は、すぐに隔離部屋と呼ばれる部屋に入れられた。

そこは、ベッドと外から流すタイプのトイレしかない質素な部屋だった。

「夏に入院したとき以来だね?」と看護師は明るく言ったが、私は何て答えたか覚えていない。

しばらくしたら、遠藤が隔離告知書という紙をベッドに置いて去っていた。

隔離生活が始まってから、私は意外と冷静だった。
何もない空間に、ベッドとトイレしかない場所で、ひたすら寝たり、物思いに更けたりしていた。

隔離部屋というのは実に厳しく、まず、重い鉄の扉で仕切られ、中から開けることができない。手洗いすら許して貰えず、私は、看護師に洗面器に水を入れて貰い、それで手を洗ったり、飲み物も自由に飲めなかったため、看護師が気づいたときに、麦茶や親の差し入れのジュースをコップに入れて貰ったりした。
ペットボトルは、部屋に持ち込めないらしい。
ひどい時は、水道水を入れられた。

私は、拘置所の生活の方が楽ではないだろうか?
と思った。

24日から、私の主治医となる若い女医が毎日くるようになる。白衣の下に上下のスクラブを着た、20-30代と思われる女医。

「殺したいという気持ちはあるけど、ダメだと思ったから入院したんだよね?」と遠藤とおなじことを言った。私は、『はい、そうです。』とだけ答えた。そのあとに、遠藤が来た。
『遠藤克也を許さない!ぶっ殺す!遠藤克也は、なぜ精神科医になったの?』と横暴に言った私に彼は、笑いながら『遠藤克也はー、そうだね、前に言わなかったけ?』と言いながら、昼飯の支度をしてくれた。

私は、ぶっちゃけ遠藤克也をぶっ殺したいというよりは、彼が精神科医をやっていることを許せない(内容証明を送っている)ので、その時は隔離部屋にいたこともあり、精神が錯乱していた。

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