ロイヤル顧客のLTV増加を「ギフト」で実現する。ロクシタンについて分析しました。
こんにちは、 AnyReach代表の中島 功之祐と申します。
今回は久しぶりの分析noteを書きました。
これからのギフトシーズンに向けて、そもそもギフトがどういう在り方をするべきか、ギフト需要に対応することの魅力は何か、などを調べていたときに、homeal代表の鬼海さんにロクシタンについて教えていただき、
色々と調べた内容を以下かんたんにまとめてみました📝
ロクシタンとは
ロクシタン(L'OCCITANE)は厳選された植物素材を使用した製品を通じて南仏プロヴァンスの生活を提案するコスメティックブランド。
1976年に誕生し、現在世界約90ヶ国以上で展開されています。日本には1998年から展開。
ハンドグリームを始め、スキンケア、フレグランス、ボディケア、バス製品、ホームフレグランスなど100%植物由来の原料として商品を展開されています。
2015年当時のロクシタン
ロクシタンは基本的に自社店舗のみで販売し、南フランスを彷彿とさせる美しい店舗展開とPRを軸に、多くの在庫を抱えないことで「希少性がある」「すぐに売り切れてしまう」ブランドとして認知を広げていた。
ロクシタンの売上を支えていたのは、ロクシタンのコンセプトや独自性のある商品に強い愛着を持つ「ロイヤル顧客」だった。
ロイヤル顧客がすべての新商品を集めて、競い合って購入するまでになっていた。
それゆえ売上の60%が、上位16%のロイヤル顧客に支えられていた。
さらに利益の100%がこの16%の顧客から生まれていた。
ただ、当時は新商品を年間15回出し、店舗を国内30から100店舗に拡大。売上は継続的に増加していたが、PRやその施策を支えるための人員を採用し続け利益率を逼迫していた。立ち止まると売上が低下してしまうが、何かを変えるには人が足りないような状況。
売上は伸ばしつつ、高い利益率を2年以内に取り戻すのが当時日本法人代表に就任した西口さんのチャレンジだった。
80%の顧客がギフトのニーズで購入。ロイヤル顧客のLTV最大化はギフトで生まれていた
ロクシタンがどんな顧客にどんな価値を与えて、心理変化を生んでいるかを調査。
7人の本部長にヒアリングをしたところ、7人は共通して「3割程度がギフト目的」と返答。
つまり、「自分が使う」もしくは「ブランドが好きなので、使用しないが家に飾っておくために購入する」という自己消費顧客が7割で、残りの3割が「誰かに贈るギフト購入目的」だという理解をされていた。
ただ実際に店舗に足を向けてみると、8割以上の購入理由がギフトだった。クリスマスはほぼ100%ギフトだった。本部長と現場との乖離。
ロイヤル顧客は、すでにたくさん所有しているため、自分用に年間15個も新商品を購入できず、余ってしまうため、離反してしまっていた。残っているロイヤル顧客は自分のためではなく、「誰かのためのギフト用に購入」していたため、残ってくれていた。
ギフトにニーズがあると思いラッピングやギフト企画も実施していたが、それを3割程度と思って実行するか、8割以上だと捉えて実行をするかは全く違う。
ギフト需要に対応することの魅力
ロクシタンが新たな国に進出した後は、ブランドの独自性や世界観を打ち出して憧れ感を醸成し、自分用の購入を中心に売上を伸ばす。
ただ、ブランド認知が拡大して浸透すれば、まだ購入したことのない多くの方々の間でも憧れ感は広がり、「まだ自分で買うのは躊躇があるけど、もらえるとうれしい」との潜在需要が高まっていた
同時に、自己消費でファンになってくれたロイヤル顧客は「知り合いや友人にぜひ薦めたい」との気持ちが高まっていた
ギフトには安売りは必要なく、高い利益率を実現できる。高い値段のほうが好まれるという稀有な市場。
ギフトならロクシタン、と大々的に便益を訴求する戦略に
ロクシタンのギフト戦略はテレビCMがメインだった。
ホワイトデーの直前、雑誌など他の宣伝費を全部切って福岡エリアでテレビCMに投じたら、店長からクレームが入るくらい店頭に男性が殺到。
またCMの放映期間が終わっても福岡ではその効果がずっと高かったその後、クリスマス前にも一気に投じたらそちらも高い効果を維持。
その他にも、オンラインストアでは「予算から選べるギフト」「誕生日や結婚祝など目的別から選べるギフト」「世界に一つだけのカスタマイズギフト」など、幅広いギフトニーズに対応する施策を展開している。
ギフトは、ロイヤル顧客のLTV増だけでなく、新規の獲得にも有効
ギフトの訴求により、ロクシタンを初めて購入する50%は、クリスマスやホワイトデーなど、シーズナルイベントのギフト目的としての購入。
1998年上陸時から、ロクシタンのハンドクリームは、当時香水に馴染みのなかった日本人に、「香りを楽しむ」という新たな文化をもたらし、今回のコロナ禍により、ハンドクリームをプレゼントすることで、「手洗いやアルコール消毒で荒れた手を労ってほしい」という送り主の想いを込めることも可能となった。
自分用の購入でためらっていた人も、訴求軸によっては「誰かのために購入をしよう」と変化する。
社会や文脈などのコンテキストの変化を的確に捉え、プロモーションメッセージに反映し、ギフトシーズンのたびに新規顧客を獲得し続けている。
ロクシタン今後の重要性
ギフトの訴求等を続けていった結果、ロクシタンのブランド認知度については90%近くある。
一方で、実際の購買体験はまだ20%。ロクシタンを知っていて、ロクシタンに興味があり、ロクシタンを好意的に思っているのに購買体験がない方々が70%近くいる。
そういった残りの70%の方々に対して、CRMやアプローチをしていくことが今後重要に。
ロクシタン分析からの所感
新規獲得のための施策等はあるが、ロイヤル顧客向けの施策として、ギフトという軸はかなり有効かもしれない。
そのブランドが好きでたまらなくても、すでに自分用には大量に家にある状態の場合、自分用の追加の購入は難しい。一方でギフトであれば、週に何件でもリピートは可能となる。(※ 金銭を度外視すると)
ロイヤル顧客の売上と利益貢献度は高く、1人離反するとより多くの新規獲得が必要になってしまう。また新規顧客の獲得コスト回収は通常、単年では難しく、より長期を見据えないといけなくなってしまう。
すでに好んでくれているロイヤル顧客に対して、周りの知人・友人に配ってもらえることで、魅力的な商品を認知・体験する潜在顧客が増えると同時に、ロイヤル顧客を通して実際に手にする商品はバイアスを持って届けられ、誰かに贈りたくなるような魅力的な商品であれば、それがバイラル的に広がっていくのではと考えています。
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