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突然湧いた疑問をChatGPTに聞いてみた(大気の潮汐)

 大潮と満潮の違いについて話しているときに、唐突に、次の疑問が降ってきました。

海は月と太陽の引力で満ち引きを繰り返す。
では、大気も同じように「満ち引き」を繰り返しているのだろうか。

海の満ち引きの仕組みを考えると大気も「満ち引き」していそうです。しかし、私たちは日常でこの現象を意識したことはありません。

 この疑問をChatGPTに聞いて(あといろいろな計算をして)みた、というのがこの記事の内容になります。


そもそも海の潮汐とは

 そもそも、満潮や干潮はどのような原理で起こるのでしょうか。その答えは月の引力と慣性力で説明できます。

 海に限らず、地球上のあらゆる物体は2種類の月の力学的な影響を受けています。それは月の重力月との公転に伴う遠心力です(厳密には慣性力と呼ばれます)。液体である水はこの力の影響を受けやすく変化がわかりやすいため、海の潮汐が特に有名であるわけです。

(このページによると、潮位は日ごとだけでなく季節によっても変化するらしいです。どうしてでしょうね。)

 試しにこれらの影響を計算してみました。物体が受ける力$${\bm{F}}$$を計算した結果は、地球の半径$${R_{\text{地球}}}$$が月との距離$${d}$$よりも非常に小さい極限$${(R_{\text{地球}} \ll d)}$$で

$$
\bm{F} =\frac{G M_{\text{月}} m}{d^3} \begin{pmatrix} 2x \\ -y\end{pmatrix}\qquad\qquad\qquad\qquad\quad\;\,\\
=m \left(6.33997 \times10^{-7} \mathrm{m}/\mathrm{s}^2 \right)\begin{pmatrix} 2\frac{x}{R_{\text{地球}}} \\ -\frac{y}{R_{\text{地球}}}\end{pmatrix}
$$

と計算されます。ただし、$${G}$$は万有引力定数、$${M_{\text{月}}}$$は月の質量、$${m}$$は力を受ける物体の質量、そして$${(x,y)}$$は長さの次元を持った座標変数です。また、この計算では月の重心が$${(x,y)=(-d,0)}$$にあり$${xy}$$平面上を公転していると仮定しました。
結果の数式はわかりにくいので、図にしてみましょう。次のようになります。

(キャプションは省略)

月に近いほう、遠いほうは物体は空のほうに引っ張られ、中間では逆に地面のほうに引っ張られる、ということがよく可視化できています。

 以上が、力学を用いた潮汐の計算結果です。これを見ると、力の大きさは$${10^{-6} \mathrm{m}/\mathrm{s}^2 \times m}$$程度で地表付近の重力加速度$${9.8 \mathrm{m}/\mathrm{s}^2}$$より桁違いに小さいことがわかります。
月が真上にあるからと言って人間が変化を感じることはできなさそうですね。実際、重力加速度を測る実験では、潮汐の影響は小数第6桁から見え始めるとのことです。

(国土地理院の地図と測量の科学館、結構面白かったのでお勧めです。2024/12/22までなら企画展「日本の新しい標高を知ろう!」やってます。)

大気は月の影響を受けるか

 では、大気はこの二つの月の影響を受けるのでしょうか。受けるとしたら、その影響はどのぐらいでしょうか。忘れていましたがChatGPTに聞いた結果を紹介しましょう。
 帰ってきた答えがこちら

はい、大気も月や太陽の重力の影響を受け、潮汐現象が起こっています。これは「大気潮汐」と呼ばれる現象で、海の潮汐と同様に月と太陽の引力によって引き起こされます。

ただし、大気潮汐は海の潮汐と異なり、その振幅は非常に小さく、一般的に気圧の変動として現れるため、通常の日常生活の中で直接感じることはできません。大気の圧力は日中と夜間でわずかな変動が見られ、主に1日2回の周期的な変動が観測されます。これらの変動には太陽の加熱による影響も含まれていますが、月の引力による影響も一部加わっています。

特に、地球の表面近くの低層大気よりも、中層から上層大気(成層圏や中間圏)で大気潮汐の影響がより顕著になります。高層大気では温度や風の変動が観測され、衛星観測や精密な気象データによりその存在が確認されています。このような大気潮汐の研究は、気象学だけでなく、衛星の運行や通信に影響を与えるため、宇宙天気の分野でも重要です。

大気もしっかりと月の影響を受けるとのこと。そして出てきたキーワード「大気潮汐」で調べると次のページが出てきました。

これによると、確かに気圧は1日に2回気圧が増減しているそうですがその影響は非常に微々たるもので、全体でも2hPa程度、加えて増減の主な原因は太陽による熱であり、月の影響(太陰潮汐というらしい)だけだと0.1hPa程度しかないそうです。
天気図で普通に1013±20hPaぐらいの数字が書かれていることを考えると、全く意識せずに生活できるレベルでしかないということですね。

まとめ

 まとめると、大気にも重力による潮汐はあるが、普通の高、低気圧にも劣る変化しかない、ということがわかりました。水深の変化がわかりやすい海と違って、確かにこれでは人間は大気の潮汐による変化は簡単には観察できないのも納得です。
 ChatGPTは回答が正しい保証がないですが、手っ取り早く答えにたどり着く道具として非常に優秀です。皆さんも疑問を投げかけて膨らませ、学んでみてはいかがでしょうか。

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