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【米栗カレンダ 20200830】期間限定独裁者

(夜の9時半。やっと寝たかな?と思った3歳の彼がガバっと起き上がり、

「のどが渇いたの」

と言う。

パパが麦茶をコップにいれて持ってきたら、

「ママが淹れて来るのよ!」とコップを突き返してくるので、「せっかくパパが淹れてくれたのにそれは酷い!」とママが怒ると、彼は号泣して抵抗。最近、この「ママが」が多い。

着替えを手伝うのも「ママが!パパやだ」

シリアルに牛乳を注ぐのも「ママが!」

熱いごはんをフウフウして冷ますのも「ママ!パパはフウフウしないで!」

と、仕事をママに振ってくる。

が、パパと遊んでいて楽しいと、

「ママがお皿洗って。パパと遊ぶのよ!」

と独裁者のように指示を出す。

そういうお年頃なのだ。そして遠からず、ママが全部やってくれるなんて無理なのだと悟る日が来る。

「社会」と触れてゆくにつれて、友達も先生も、自分のために囲い込むことができないと知り、自分だけの他者というのはありえないと知る。

でもたまに、それがわからない大人もいて、ヒトを独占しようとして犯罪に至る……あれって、たぶん、幼い頃に誰かを「独占」する経験をきちんと卒業していないんじゃないかと思う。一度やってみれば、その恐ろしく幼稚で快楽的で、それでいて「つまらない」ことに気づけると思うのだ。

小さいうちの独裁は、やっておくといいよね…なんて彼を観ていて思ったのでした。)

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取材、執筆のためにつかわせていただきます。