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『言バトン No.703 つらい悩みに効くかもよ』 by HANZAWA on 9月 21, 2018 • 18:58
ちょっと前に『君たちはどう生きるか』なんて上から目線なタイトルの本が流行って、
漫画版もかなり売れたみたいで、
それはそれでいいとして、
自分も最初からおしまいまで全部読んだけど、
こんなミもフタもないタイトルで、
最初から最後まで道徳の教科書のような内容の本を、
本気で人生に悩んでいる若者が手にとる? なんて思った。
(若くない人なら、逆に新鮮だと思って読むかもしれない)
生き方を見失って悩んでいる若者が、
「正しい人の道の歩き方はこうだ!」と書かれたマニュアル本を信用する?
それは十代の悩み深き時期の自分だったら立ち読みしたとしてもまず買わないし、
それ以前にタイトルの段階でヒク…と思ったわけだ。
じゃあ高校生くらいで生き方に悩んでいる人はどんな本を読めばいいのか…
もし高校時代の悩みすぎて身動きが取れなくなっていた自分に本を手渡せるとしたら、
町田康の小説『ギケイキ』をあげたい。
これは古典文学『義経記』の現代語訳…ではない。
生き方を見つけられない一人の若者が、
自分の道を見つけ、歩き、走り、仲間を見つけ、
大人を利用し、時に利用され、
愚かだったり、追い詰められたりしながらも、
自分の判断で人生を進んでいく物語。
何がステキかって、
ドライブ感のある語り口と、
「間違っているかもしれない道を、それでも自分で決めたんだからガシガシ進んじゃう」ところ。
失敗した数だけ損をするだとか、
親を悲しませちゃ面倒だからほどほどにうまくやろうだとか、
学校でうまくやれないやつは結局人としてダメじゃないかとか、
恋愛がだめでも趣味があればそれでいいんじゃないかとか、
一番にはなれないけど、個性もないけど、30番以内に入るように頑張ればいいんじゃね?とか。
そんなことを考えていたら身動き取れなくなって当たり前だ。
そんなツマラナイ、要するに些末なことは投げ出してしまわないと、本道を行くことはできない。
人はなぜ生きるのかといえば、
当たり前だけど「この世界をちょっとでも良くするために」生きる、それに尽きる。
そのために研究者になったり、よりおいしい野菜を作ったり、ホームズのような探偵になったり、ワトソンのように本を書いたり、電車を運行したり、さんごの研究をしたり、飛行機の整備をしたりする。
自分に何ができるのか、おうちに居てもわからないなら、
家を出て探す旅に出るしかない。
失敗しても損はしないし、
親を泣かせてもいいし(親が人生のすべてじゃない)、
受験に失敗しても実際たいしたことないわけで、
それよりも「自分は世界のために何ができるのか」という、
たった一つの問いの答えを探すことのほうが何よりも大事だよ…
ということが、
『ギケイキ』でみっちり学習できる。
息子が大きくなったら絶対に読ませたい。
次は、つらい悩みに効くかもよ、の「よ」
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