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明日の大学

今月の日経朝刊「私の履歴書」の執筆者、東京エレクトロン元社長の東哲郎氏が、ICU(国際基督教大学)の同窓生であることを、今日の朝刊で知った。

ちょうど昨日、ICU理事の富岡徹郎氏より、ICU創設の頃の話を聞いたばかりである。その話がとても素晴らしかったので、忘れないうちに、書き留めておきたい。

ICUは、戦後、日米の人々の協力により創設された大学だ。その背景には、日本と和解したいというアメリカ人の思い、もう二度と戦争はしたくないという日本人の思い、そして、日本にエキュメニカルな(教派を超えた)キリスト教の総合大学を作りたいというクリスチャンの思いがあった。そうした思いの実現の陰には、実にたくさんの人々の祈りと犠牲があり、奇跡とも言えるような出来事が一度ならずあった。

母校の歴史をほとんど知らなかったことに気づかされる。

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大学の設立資金は、募金活動により集められた。日本では、一万田尚登日銀総裁が募金活動を支える後援会会長となり、多くの著名人も名を連ねた。アメリカでは、ジョン・マクリーン牧師の呼びかけに応えて募金活動が広がり、エレノア・ルーズベルト、ロックフェラーファミリー、ダグラス・マッカーサー元帥らが募金活動に協力した。多くの大学生が「平和と善意のための投票箱」に一ドルづつを投じたそうだ。マクリーン通りと呼ばれる桜並木の桜も、アメリカからの贈り物だ。

戦後間もなく、困窮した時期に、そこまで大規模な募金活動が行われ、三鷹に広大な土地が与えられ、大学が設立されたことに不思議な導きを感じずにはいられない。

当時の人々の言葉を一部紹介したい。

「人材よりも人物、知識よりも英知、そして知ることよりも実行すること、実行することよりもあなたがあなたとして存在することが大切だ」
新渡戸稲造、東京女子大学創立学長

「生きることは愛すること、愛することは理解すること、理解することは赦すこと、赦すことは赦されること、赦されることは救われること」
湯浅八郎、ICU初代学長

「自分を顧みないで、周囲の人を助け続ける理想を選ぶようになっていただきたい。この理想こそICUという大学の教育目標です」
齋藤和明、ICU名誉教授

民主主義精神の体現、世界の平和と人類の幸福を願って創設されたICUは、第二次世界大戦を終えたばかりの世界における、赦しと和解からスタートしている。今なお、明日の大学を模索し続ける場。その営みの中で自分も育まれてきたのだろうなあと思っている。

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