果てしない日常に
「ねぇまだ寝ないで。こんなときどうしたらいいの?ひとりで戦うのは無理だよ」ゴールデンウィーク最後の夜、隣でもうすぐ眠りそうな彼に言う。いつも夜遅くまで起きてるくせに、こんなときに限って早く眠る。
明日からまた月曜日で、日常がはじまる。爪跡を残さないような仕事をする気はさらさらないけれど、それでも月曜日があって火曜日があって…また土日があって月曜日で。連綿と続く日常がまた待っているのかと思うと、果てしなさで気が遠くなる。
「ーーくんは、仕事をするとき目標を決めるでしょ?それで期日になったら、もしくは中間地点で、それを達成できたか確認する。達成できていたらお祝い、できていなかったらなぜできなかったのか考える。そして、そのあと再び目標を決める。それを繰り返すでしょ?最終的なゴールはどこ?」
答えはない。もう彼は寝てる。取り残されちゃった。行くあてのない宇宙船みたいに、どこにも寄る辺のない、果てしない感じがする。一体どうすれば。
あれに似てる。小学生の頃の、夏休みの最後の日。20時半くらい。テレビがついていて、家族がいるリビング。のどが渇いたから、そこから少し離れて、キッチンに麦茶を取りに行く。そのとき冷蔵庫がひとりで静かに暑いなかジーーーって言ってるでしょ。あの時と同じような感覚。なんとなく、こういうことがずっと続くんだなと確信して、そういう果てしなさに、ひとりで対峙する時間。
思えば数年前も同じようなことがあった。大企業でバリバリ働いていた当時の彼は、毎日、明日がよりよいものだと確信しており、日常が繰り返されることに何の絶望もないようだった。希望しか抱いてない。私の絶望をいくら説明したって無駄。だってよりよい一日が来るだけ、そのようにするだけだもん。
その心意気がえらいよ。かっこよくて、いつもすこしさみしかった。そんなふうにできない自分が頼りなくて泣きたかった。当時は、思うような仕事ができていなかったから尚更。
眠ったと思っていた彼が口を開く。
「さっき観たアバウトタイムで言ってたよ。1日1日が、かけがえのない大切な日だって」
今振り返ると泣ける。でも、絶望に処方するにはあまりにも正しく、素直にそう思えないだけにつらい言葉だ。
確かに、すべての平凡な日常は期間限定であって、ずっと続くなんてことはない。ずっと続くことを恐れる必要はなく、ただ愛おしく大切に思えば良いし、そうすることでまた幸せな次の期間が始まる。もちろん、そう思えるときだってあるのだけど。
じゃあ、この絶望には何を処方すればよいのか。人に抱きしめてもらえるなら、一緒に戦おうって言って眠らせてほしい。我儘?
一過性の絶望なら次の日からまた通常運転なので、寝て解決。今回の絶望はこっち。ライトなほう。
問題は、一過性じゃない絶望。終わりの見えない絶望。(絶望に次ぐ絶望だよね)
ここまで読んでもらってがっかりかもしれないけど、これに対する解決方法は、私だってちゃんとわかってない。
わからないけど、もうたぶんこれしかないと思う。連綿と続く日常と戦うのだ。戦えない、変えられない自分が情けなくってつらくても、戦うしかないのだ。だって戦えるのは自分だけだから。"日常を変えられない自分"がつらいわけだから。
しんどくて何もできないときは早く寝る。寝る日ばっかり続いても時々チャンスがくるから大丈夫。イケる日に何かする。なんでもいい。一冊本を読むでも人と話すでも、新しい仕事をするでも。
戦えるのは自分だけだけど、好きに味方をつけていい。それから、休む日も戦ってる日。だってがんばってるもん。えらいよ。
書くのをためらうくらいありきたりな言葉だけど、仕事が思うようにいかなくてつらかった数年前、親戚のおじちゃんが
「日はまた登るけん。夜明け前が一番暗いんよ。朝になったら、ちゃんと日は登るけん」って言ってて、泣いちゃったことがある。
ありきたりすぎてまじかよ。って感じだけど、ちゃんと日は登ったし絶望からも抜けられた。その時の話はまた書こ。(全然ちがう業界から出版社に転職した話なんだけど、勇気出ませんか)
まとめ
日常が続いていく果てしなさによる絶望は、寝て解決するものとしないものがあって、寝て解決しないものは自分が解決するしかない。
必ず解決する。絶望してるから、無理そうに感じると思うんだけど、時々ちらっと光が見えたような気がする日があるから、そのときにちょっとずつアクションする。(できない日があってもOK)
時間はかかるかもしれないけれど必ず絶望からは抜けられるよ。というのが今日のお話でした。
(というか一般的にこういうことに絶望するものなのか)
※私にとっての絶望は、果てしないこと。
※よりよいところを目指していくのが人生というか人の性だと思っているので、同じような日常に絶望する(変えられなさそうなことをつらく思う)のは正常な心の働きかもしれない。
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