『美しい春画展』を観に行った【感想文】
《美しい春画 ー北斎・歌麿、交歓の競艶ー》
ということで、京都は岡崎公園の細見美術館に行ってきました。初めて訪ねる美術館です。お世話になります。
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歌川国芳の《妖怪見立陰陽画帖》で描かれているのが顔面女性器の妖怪。
まず口をついて出た感想が「アホやなあ」で、何やら既視感。どっかで見たことあると思ったら、そうか、こいつはクチビルゲ。
ご存知だろうか、クチビルゲ?
1970年代に放映された特撮ヒーローTV番組『超人バロム・1』に登場する異形の怪人クチビルゲ。
頭部が丸ごと巨大な口唇の形をしている。ザンバラ髪を垂らしている。
年端もいかない少年少女が見ればトラウマにさえなりかねない、おぞましいその姿も、大人の目で見れば、どことなく滑稽で、そして、卑猥な。
春画においては性器頭の人物(妖怪)というのは、わりと有るモチーフらしいですね。春画の性器頭も、どことなく滑稽で、そしてやはり、卑猥な。
『バロム・1』の怪人たちは、もしかしたら春画をヒントにしたんじゃないか知らと思いました。
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《妖怪見立陰陽画帖》の性器頭妖怪と並んで展示されていたのが、これも国芳作《逢見八景》で、これまた馬鹿馬鹿しいナンセンス・ユーモアを感じさせる作品なのですが、この一画に来て、ほっとひと息ついたのでした。
というのも、春画展。18禁です。閨房の男女の姿、男女同衾の場面、それもコトに及んでいる真っ最中の様子を描いた絵ばっかりを最初から最後まで観て回ります。
当時の鑑賞者、客の見たいもの、需要の有るところと言ったら、やはり結合の部分だったのでしょう。
それに応じるように、その部分はクローズアップして描いてあります。襞やら皺やら毛筋やら、微に入り細を穿つ描き様で描かれる。
さすがにちょっと、まあ、げっぷが出そうな感じではある。グッタリしちゃう。
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印象に残ったのが鳥居清長《袖の巻》で、極端な横長の画面がスタイリッシュな。
葛飾北斎《肉筆浪千鳥》はキラキラの背景がゴージャスな。
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実物となれば、滅多と目にすることができるものでもないので、この機会に、いっぺんでも見といて良かったなー、と思う次第でありました。
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