『ユトリロ展』を観に行った【感想文】
《生誕140年 ユトリロ展》
ということで、美術館「えき」KYOTOに行ってきました。初めて訪れる美術館です。お世話になります。
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ユトリロといえば『白の時代』なわけですが、きれいな真っ白ではなくて、建物の壁に使われる漆喰の色、質感を再現するためにムラのある塗り方。汚れた感じの白でした。
これだけまとめて白壁の作品ばかりを見ていると気が変になりそう。
それでまた、道を描いた作品が多い。ノルヴァン通り、サンドニ通り、サノワ通り、etc、etc…
画面奥へと続いてゆく道に導かれて絵の中の街へ吸い込まれてしまいそう。
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画面の中で多用される直線。
ひと気の少ない街路の風景。
建物のくすんだ白い壁。
晴れ渡らない空。
併せ鑑みて、どうしたって神経症的なものを感じてしまいます。
けれどもそれは、私の先入観がもたらした感想だったのかも知れません。
毒親に育てられた酒浸りの画家ユトリロ、というイメージが強過ぎてユトリロに関しては虚心坦懐に作品と向き合うことができないのかも知れません。
会場にはユトリロの母親シュザンヌとユトリロと彼らと交流のあった人物らとの相関図の展示もありました。伝記的エピソード込みで作品鑑賞を促すところが、現代的だわねと思いました。
ユトリロが手掛けたポスターや飲食メニューの表紙絵といったものの展示もありました。職業画家の一面を見て意外の感を受けました。
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街の風景、というものにはやっぱりそそられて、だから私はユトリロの絵を見てしまうんだということを、再認識した展覧会でもあったなー、と思う次第でありました。