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『竹内栖鳳展』を観に行った【感想文】

《竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー》

ということで、京都市京セラ美術館に行ってきました。今年二度目の京セラ美術館です。お世話になります。

まず《百騒一睡》の前で立ち止まる。
いかにも日本的な仕立てである金屏風に、余りにも西洋的なコリー犬が写実的に描かれていて、不思議なその違和感が私の足を止めました。

日本画で用いられる画材を使いながら、西洋画の手法を取り入れて描く。《羅馬遺跡図》《ベニスの月》のような水墨で描かれた風景画の前に立ったとき、道無き道に踏み出そうとしている画家の気概が伝わってくるようでした。我知らず口から漏れたのは『かっこいい…』という言葉。

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栖鳳が好んで雀を描いたというエピソードにその人柄を偲んでみたり、ライオンの顔面の大きさに感心したり、ひょうげた表情でひょっこり現れる熊の姿になごんだり、三匹で向かいあって集まる蛙を描いた作品に付けられた題名に唸ったりしながら見ている動物の絵が楽しい。

そして、警戒しているのか少し背を丸めてこちらの様子を伺っているような狐の姿を見ていたら、不意に郷愁に駆られて泣きそうになって、《枯野の狐》は今回最も印象に残った作品です。

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日本画家、竹内栖鳳にとって西洋絵画から受けた衝撃を表現するために創意工夫を尽くすのは、ある意味、画家冥利に尽きることではなかったか知ら。暗中模索の手探りの日々を、案外、楽しみながら描いていたんじゃないか知ら。

伝統に対するリスペクトは有りながら、常識やしきたりにとらわれない自由闊達な発想と高度な技術を併せ持った竹内栖鳳。日本画家としての存在感はもとより、人間としての大きさを感じることのできる展覧会だったなー、と思う次第でありました。

”オーソドックスの打破”ってやっぱりかっこいい

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