『川瀬巴水展』を観に行った【感想文】
《特別展 川瀬巴水 旅と郷愁の風景》
ということで、大阪歴史博物館に行ってきました。ずいぶんご無沙汰の、何年振りでしょうか?11年振りですか。お世話になります。
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川瀬巴水といえば、かの、スティーブ・ジョブズもその魅力にハマりコレクションしていた、という紹介のされ方をしょっちゅう目にしています。取っ掛かりとしてはキャッチーな、などと思いつつ、だからどうした、とも思いつつ。
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最初に残念だった点をひとつ。
作品を展示しているガラスケースの映り込みが、強い。
作品風景の上に、観ている私の顔も隣で観ている女の人の姿も映り込んでいる。
夜の場面とか雨模様や雪景色の風景を描く作品が多く、したがって暗い画面をガラス越しに見ることになるので、余計に映り込みが気になってしまうのでした。
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『旅みやげ第二集』中の《金澤下本多町》が印象に残りました。
先ほども述べたように、暗い場面の作品が多く、それらを続けて観ているところに不意打ちのように、夏の午後。
青空に入道雲。
強い日差しを浴びた木々の緑。
土壁の道に落ちる影は色濃く、その中を歩く日傘の女性は涼しげな和装の後ろ姿。
鮮やかな夏の風景に目を奪われました。
『旅みやげ第三集』からは《出雲松江》が面白かった。
水路とその水路沿いに建ち並ぶ蔵を全く同じ構図で描いた三枚が並べて展示されていて、それぞれに(曇り日)(おぼろ月)(三日月)と題名がついている。
定点観測なのだと思いました。
つまり水路と蔵の部分は全く変えず、空模様だけ描き変えて、刷り変えて、時間の経過などを表している。
単純なことだけれども、版画ならではだと感心しました。
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私は関西在住なものですから、清水寺や道頓堀や二月堂の景色が描かれていれば親しみを持って観ます。
それで《尼崎大物》て。
当時は知らないけれども今日では、「ど」のつくほどのローカルな。
そして、展覧会のタイトルにも旅の字が使われ、代表的な作品集の題も『旅みやげ』であればもう、旅情を誘われ、誘われまくりになってしまうのは必然。
近年ひとり旅を嗜むようになった私。かねがね行ってみたいと思っている尾道。
《尾道千光寺の坂》
が、私のそんな思いに拍車をかけて、これはもう、次の旅先は尾道に決定やなー、と思う次第でありました。