北海道はでっかいどう

北海道讃歌を書くよ。北海道はでっかいどう。我ながら陳腐なタイトルだと思う。先日、息子と街を歩いていた時に「北海道はでっかいどう」という名の居酒屋を見つけたんだ。息子はその名前にすっかり惚れ込んで、その後ずっと「北海道はでっかいどう、北海道はでっかいどう」と呟いていた。やっぱり、シンプルな言葉が一番心に届くってことなんだろうな。だから、恥ずかしがらずに話を続けようと思う。

北海道って、どんなところ?

そんな質問をされたら、僕はまず「でっかい」と答えるだろう。そう、北海道はただただ広い。その広さが生み出すものは、他のどこにもない魅力だ。関東生まれ、関東育ちの僕が、なぜ北海道について語っているのか。それは過去に流れに乗って北海道に住むことになった経験があるからだ。強く望んだわけでもなく、ただ流されるままに。でも、父が「北海道か、一度住んでみたいな。広くて良さそうだ」と言っていたのが、妙に記憶に残っていたんだ。今思えば、父は北海道の魅力を直感的に感じ取っていたのだろう。そうして気乗りしないまま北海道に渡った僕を待っていたのは、想像を超える大自然だった。


まず、その広すぎる空。地平線の向こうまで続く大地。この圧倒的な開放感は、関東では絶対に味わえないものだ。立っているだけで、自分がこの大自然の一部であると実感できる不思議な感覚に包まれる。そして、四季の移り変わりがこれまた特別なんだ。春は遅れてやってくるけれど、その瞬間が鮮烈だ。フキノトウが顔を出し、エゾエンゴサクが咲き始め、まだ寒い風の中で桜が満開になる。北海道の春は、大地が目覚める瞬間を見せてくれる。

夏は短い。けれど、その短さが逆に魅力なんだ。富良野のラベンダー畑なんか、まるで紫の絨毯が広がっているかのようだ。その香りが風に乗ってどこまでも漂う。空はどこまでも青く、夜になると満天の星空が広がる。天の川が濃く輝き、流れ星が夜空を切り裂いていく。その美しさを前にすると、都会のネオンなんてどうでもよくなってしまう。

秋が訪れると、北海道はまた違った表情を見せる。紅葉に染まる山々、黄金色に輝く稲穂の風景。どこを見ても絵になる光景が広がる。そして、山々に初雪が舞い降りる頃、冬の訪れが感じられる。温泉に浸かりながら眺める紅葉や雪景色は、言葉では言い尽くせないほどの美しさだ。こうした風景を楽しむことができるのも、北海道の秋の贅沢だ。

そして、冬。北海道の真の魅力は冬だと思うよ。厳しさと美しさが共存する季節。真っ白な雪に覆われた大地、その下で眠る命の力強さを感じることができる。氷点下の中、ダイヤモンドダストが輝き、静寂の中で聞こえる雪の音。その中で食べる熱々の鍋は、体の芯から温めてくれる。そして、ストーブの温もりに包まれながら、外の寒さを忘れて過ごす時間がまた格別なんだ。

だけど、北海道の魅力は自然だけにとどまらない。そこに住む人々の温かさがあるんだ。最初は少し距離を感じることもあるけれど、それはただの見かけだけ。すぐに心を開いてくれる、その素朴で力強い生き方に、僕は毎回感動する。彼らは自然と共に生きている。その姿勢に敬意を抱かずにはいられない。自然の厳しさを受け入れ、それを楽しむ心の余裕が、北海道の人々の生き方に根付いているんだ。

だから、北海道という場所は、他のどことも違う特別な場所なんだ。広大な自然、四季折々の美しさ、そしてそこで営まれる人々の生活。そのすべてが、訪れる者の心を捉えて離さない。関東に住んでいても、何度でも行きたくなる場所だ。訪れるたびに新しい発見があり、いつも心を奪われてしまう。これが、僕が北海道に惹かれてやまない理由だ。


そして何より、北海道はどんな人でも受け入れてくれる大地だ。愛している人も、愛されている人も、泣いている人も、笑っている君も、平和な人も、戦っている人も。大切な人も、離れていく人も。すべてを受け入れて包み込んでくれる、それが北海道の力なんだ。だからこそ、僕は北海道が大好きなんだ。


I wish you happiness on your departure.

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