一生着られる服
甥っ子の結婚式には、あの服で行こうと決めていた。
10年近く前に購入したワンピース。
一生ものにしようと、ちょっと奮発した記憶がある。
やわらかなジョーゼット生地に、墨絵のような花が描かれていて
色も柄も地味だけれど、
どことなく個性があるところが気に入っていた。
知人の結婚式や、ちょっといいレストランでの食事、
お呼ばれの席など、たびたび重宝した。
シミを付けないように、大切に扱ってきた。
しばらく着ていないが、今回もアレでいけると考えていた。
ところが、緊急事態発生!
久しぶりにタンスから出してきたそのワンピース。
なんと、ひざ上の丈だったのだ。
たしか、ひざ丈だったはず…
と思っていたのはわたしの勘違いで、
生足で着ると、ひざこぞうがバッチリ見える。
ロング丈流行りの今、ゲストのみなさんに囲まれたら、
「ひざ上丈」は「ミニスカート」に見えるだろう。
この歳で、この体形で、ミニスカートはないよなぁ…
さあ困った。
服は買わなくていいと思っていたから、予算はゼロ円。
でも、なんとか捻出しなくちゃならない。
今回は「新郎のおばさん」だから、目立たないほうがいい。
できれば、なにを着ていたか、誰も覚えてないくらいのほうがいい。
それを目指してネットで検索。
出るわ出るわ、安くてそれなりの「フォーマル服」がわんさか検出。
よし、これなら買えそうだ。と、ほっと一息ついたものの、
どこかになにかがひっかかる。
いったんパソコンから離れてよく考えてみる。
そう、今年の目標は「熟考する」ことだった。
この先、結婚式に出席することはそれほど多くないだろう。
その場しのぎの服で、なんとか乗り切るのもひとつの手だろう。
けれど、簡単に手に入る服は、簡単に手放したくなる、
イコール、すぐに不要になってしまうことを
今までの経験からいやというほど学んできた。
どうせ買うなら、この先、一生愛せる服がいい。
10年前に買った服を、いまだに気に入っているように、
次に買う服も永く愛せる服にしよう。
そういう服は、結婚式だけじゃなくて、
ここぞというときに助けてくれる、強い味方になるはず。
というわけで、明日からそういう服を探しに行きます。
まずは、狙っている店のセールから!