〈元気でいたい〉
川﨑智子さんの本に「願いごと(やってみたいこと)をどんどん書き出してみたらいい。七夕の短冊みたいに百個くらい書いたら次の年には2つや3つは叶っている」と書いてあったのを思い出し、病院の待合室でメモ帳を取り出してみた。ところが書こうとしても一向にやってみたいことが思い浮かばない。そんなわけない、したいことはいっぱいある筈、と頭をしぼって、ようやくたった一つ書けたのが
〈元気でいたい〉
だった。
こういう取り組みはもう少し落ち着いた穏やかな環境下でやらないとだめだ。反省した。
頭部頸部のレントゲン写真は撮ってもらったことがあるが、MRIの検査を受けるのははじめてだった。
台の上に仰向けに横になり、頭を型枠におさめる。頭がぐらぐら動かないよう耳の両側にやわらかい詰め物を押し込んで固定する。傷みやすい上等な果物のような扱いだ。それから、顔の上にスリットのある蓋がかぶせられ、機械の中央の狭いトンネルの中に入ってゆく。気分が悪くなったり頭が痛くなったりするのではないかという不安があったが、いざ検査が始まると、急激に眠くなり、意識が朦朧として、よいことも悪いことも何も考えられなかった。窮屈だとか機械音がうるさいとか(確かにうるさかった!)そんなことをものともしない強烈な眠気だった。