貴重な体験

流産の経験はトラウマになっている感じがしない。ある程度苦痛も伴ったし、怖かったし不安だったし、とても悲しかった。だがネガティブな体験なら何でもトラウマになるかといえばそうではないようだ。
その時わたしには既に一人こどもがいて、健康に育っていた。そして夫もわたしを支えてくれ、穏やかな気持ちで次の機会を待ってくれていた。夫が信じていた通り、次の機会はほどなくやってきて、わたしたちのところに二人目のこどもがやって来てくれた。
たまたま運がよかったといえばそれまでだが、わたしにとっては貴重な体験だった。夫婦や家族が健全に機能していて、心身の安全と安定が保たれていれば、時にうまくいかないことがあっても、どう対処したらよいか考えることもできる。支え合って耐えたり、乗り越えたりできる。それを身をもって実感したできごとだった。

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