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役立たずなもの

そういえばかつて
自分を役立たずだと感じ
嘆いてみたり落ち込んだことがありました。
自分はたいしたことができないと
無力感におそわれて
存在そのものを否定していた。
「世のため人のため」という言葉が
目の前を素通りしていくようで
あれはいったい
どういう感覚だったのでしょうか。
そして今、ふと思うことは
役に立たなければ
存在価値がないのだろうか、ということ。
思えば私の愛するものは
必ずしも役に立つとは
言えないものかもしれません。
でも、それがなかったら
私の生きていく力は
たぶん半減してしまう。
お金にもならず、名誉にもならない
にも関わらず
私にとっては、たいせつなもの。
役に立つもの(者・物)だけが
価値あるものだとするならば
この世界はずいぶん
殺伐とするのでしょう。

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石川真理子
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