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たとえ明日この地球がなくなろうとも


坂村真民さんの詩に
『バスの中で』という作品があります。
満員のバスに揺られながら
どうしようもなく憂鬱な気分で
もう地球も危ないと思っていると
バス停でドアが開き女の子がひとり
高々といちりんの花を掲げながら
乗ってきた。
まだ9歳か10歳か、もっと幼いか
ともかく小さな女の子だった。
大人たちで混雑するなか
女の子はいっしょうけんめいに
自分ではなくいちりんの花を
守ろうとしているのです。
そんな光景を目の当たりにして
真民さんはこう綴ります。

たとい明日
この地球がどうなろうと
このような愛こそ
人の世の美しさなのだ
たとえ核戦争で
この地球が破壊されようと
そのぎりぎりの時まで
こうした愛を失わずに行こうと
涙ぐましいまで清められるのを感じた
いい匂いを放つまっ白い花であった

「バスのなかで」坂村真民

花を掲げながら
愛を放ちながら
今日を生きることができたなら。
もう40年以上も前に書かれた詩が
今なお語りかけてきます。

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石川真理子
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