🌸人に寿命があるのはコノハナサクヤヒメが原因だった?!〜サクヤと一緒に日本神話を学ぼう②〜🌸
みなさん、221🗻!
勝手に神話シリーズ第二弾。
引き続き、諸説、俗説、トンデモ説をお許しください。
結婚は…父に聞いてみないと…
前回、ニニギノミコト(以下、ニニギ)が宮崎県の高千穂に降り立ったところまでをお話しました。
ニニギが地上に降りたとき、笠沙の岬でコノハナサクヤヒメ(以下、サクヤヒメ)に出会います。このとき、サクヤヒメは自分を「阿多の姫」だと名乗ります。
「阿多」という地名は、鹿児島県南さつま市に残っています。
「笠沙」という地名も薩摩半島の南西部に残っていますが、どうもこの地名は神話に合わせてあとから付けた様子。宮崎県の高千穂に降り立って、鹿児島県の薩摩半島で出会う…悪くはないですけどね。
さて、本題に戻して、
ニニギは名前を聞くなり、すぐに結婚を申し込みます。
それに対してサクヤヒメは「父に相談を」と答えます。いやぁ、冷静ですね。ニニギはすぐにお父様に使いを出して結婚を申し込みます。
ここで登場するサクヤヒメのお父様。
⛰オオヤマツミノカミ(以下、オオヤマツミ)。その名の通り、"山の神様"です。
山を掌握する神様の娘が富士山を任されている…なかなかよく考えられていますね。
オオヤマツミは静岡県であれば、三島市の三嶋大社に祀られている神様です。
また、静岡市の浅間神社の奥にある麓山神社にも祀られています。毎年4月に行われる「静岡まつり」のなかには、「昇祭」と「降祭」という神事があり、一晩だけサクヤヒメがお父様のもとに里帰りするのだとか。ステキな行事です※1
姉のイワナガヒメも一緒に
ニニギからの申し出に、オオヤマツミは大喜びで結婚をOKします。
そして、サクヤヒメと一緒にお姉さんのイワナガヒメも差し出します。
…..あれ?お父さん、急にどうした?
どうも、サクヤヒメと一緒に、イワナガヒメも嫁がせようと考えたようです。しかし、ニニギはサクヤヒメだけを残して、イワナガヒメを送り返してしまいます。
その理由がまたヒドイ!
イワナガヒメは文字通り岩や石の神様でとても醜かったとのこと。
古事記の表記では、サクヤヒメは「麗美人」、イワナガヒメは「甚凶醜」。
字面からしてヒドイ扱いですね。
こんな時代からルッキズム満載で残念です…。
オオヤマツミも大変残念がりました。
サクヤヒメは木の花のような繁栄の象徴、イワナガヒメは岩のような永遠の命の象徴。
お父様は繁栄と長寿を願って二人を差し出したのに、ニニギはイワナガヒメを送り返してしまったのです。
これにより、ニニギとサクヤヒメの子孫には寿命ができてしまったと言われています。
富士山を褒めてはいけない場所?!
その後のイワナガヒメ。
傷ついたイワナガヒメが自分の姿を見たくないと遠くに投げた鏡が、山に引っ掛かり白く光って見えました。村人が探しに行くと大きな鏡があり、それを持ち帰ったと伝わっています。
宮崎県西都市の山奥にひっそりとある「銀鏡神社」。
イワナガヒメの投げた鏡が祀られています※2
富士宮浅間大社には、サクヤヒメを主祭神としてニニギとオオヤマツミも祀られていますが、ここにイワナガヒメの名前はありません。
イワナガヒメは富士山から離れた静岡県松崎町の烏帽子山に隠れ、ここにある雲見浅間神社に祀られています。
烏帽子山から富士山を眺めることができますが、地元では「決して富士山を褒めてはいけない」との言い伝えがあるそうです。雲ばかりで富士山がよく見えないのでしょうか?
あるいは、あえて富士見と言わず雲見と呼んだのでしょうか?
雲見という地名にも人の思いを感じます※3
離れ離れになってしまった姉妹ですが、松崎町では2013年から毎年富士山の日に二人を仲直りさせる神事が行われています。
歴史としては浅いですが、これが何百年と続けば歴史になっていくんですね。
他にも、静岡県伊東市の大室山にある浅間神社にもイワナガヒメが祀られていて、こちらにも富士山を褒めてはいけないという言い伝えがあるとか。
イワナガヒメだけが祀られている神社は全国的にも少ないようです。
不幸な運命のイワナガヒメ。気になってしまいますね。
このように、ニニギとサクヤヒメの結婚は、寿命というとんでもない代償を支払うのでした。
今回はこのくらいで。
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<参考文献>
※1 駿河国総社静岡浅間神社HP(閲覧日:2024年8月)
※2 宮巡 宮崎県神道青年会HP(閲覧日:2024年8月)
※3 松崎町役場HP(観光・浅間神社)(閲覧日:2024年8月)