9 梅すだれ 日向の国
全力で森を走る猿彦は、崖にたどり着いた。向こうの山までは十間の距離がある。この谷間には石丸と一緒に蔓で作った橋を架けた。その橋を猿彦は歩き出した。走ることはできなかった。ゆらゆら揺れる橋を落ちないように慎重に歩いて渡った。その時、カン!カン!と、田んぼや畑で鳥や動物を追い払うときに打つ竹の音が鳴り響いた。
ここから先は
1,906字
¥ 100
小説「梅すだれ」を連載中です!皆様の支えで毎日の投稿を続けられています。感謝の気持ちをパワーにして書いております!