年末年始だから、相続の話をしよう
みなさん、こんにちは。
コウノミホです。
早くも2022年も残り半月。
年末年始、皆様はどのようにお過ごしの予定でしょうか。
コロナの状況を鑑みつつ、ではあるけれど…今回は里帰り・旅行・初詣など、様々なイベントに参加したい!と思っている方も多いかもしれませんね。
私は「年末年始ならでは」という意味では、以前、相続を数多く取り扱っていらっしゃる司法書士の先生から聞いた話が心に残っています。
今日は、その話をしてみたいと思います。
1:話題にしづらい「相続」
私は幸いにも両親が健在なのですが、実はまだ、真剣に相続の話をしたことがありません。
話さなければ、と考えてはいるのですが、やはり親が亡くなる時のことは、こちらもあちらも考えたくないし、話題にもしにくいものです。
ですから、その先生に、
「相続について話し合わなければならないことは分かっています。でも、どんな風に口火を切ったら良いか、そこが分からないのです」
と相談してみました。
すると、彼女は、このように答えてくれました。
お正月など、親戚が集まる機会に、親御さんにお酒でも注ぎながら
「昔のことを聞かせて」
とご家族の歴史について、聞いてみるのが良いのではないでしょうか?
相続というのは、親御さんが、ひとつの家庭を作り上げる中で、
「ご夫婦で(またはお一人で)築き上げた財産をどう受け継ぐのか」
という話なのです。
そこには、当時は子供だった私たちには明かせなかった、様々な事情やドラマがあるものなのですよ。
2:相続で「受け継ぐもの」とは
このお話を聞いたとき、ハッとしました。
本当におっしゃる通りで、相続というとお金や税金の話、そして病や死の話・・・というイメージでしたが、それは結果としてそうなるだけであって、本当は決して、それだけの話ではないのですよね。
「相続とはひとつの家庭が築き上げた財産の話」
・・・その言葉には目から鱗が落ちる思いでした。
彼女の話は続きます。
3:相続で揉める本当の理由
相続って「必ず揉める」と言いますよね?
お金のことで揉める、と思っていらっしゃる方が多いようだけれど、違うのです。
揉める原因は、お金ではなく、感情なのです。
「あの時、兄は大学に進学させてもらったのに、僕はさせてもらえなかった」
「私の成人式はレンタルのドレスだったのに、妹は振袖を買ってもらっていた」
このような、ちょっとした感情のしこりで、相続は泥沼化することが多いのです。
例えば「僕は大学に行かせてもらえなかったのだから、たくさん相続する権利がある」などという話が出てくることになります。
ですから、お正月などに、親御さんと家庭の歴史について話し合うと良いです。その中で、
「どうして、僕は大学に行かせてくれなかったの?」
と聞いてみたら、
「ごめんな、実はあの時、お父さんの会社が倒産の危機で、給料が6割しか出ていなかったのだよ。とても2人分の学費は払えなかった。
それに君は、子供の頃から器用だったから、専門的な能力を身につけて職人として生きていくことができるだろうし、その方が向いていると思っていた。でも、君が大学に行きたかったのなら・・・すまなかったね」
と言う話が聞けたりするのです。
このような話を聞いておくことが、実はとても大事です。
そこで、感情のしこりが小さくなっていれば、相続で揉めるリスクはぐんと低下します。
親にも親の事情があった、ということを、相続する側が理解していれば、「少しでも多く相続したい、相続する権利がある」と思うような人はグッと減るのですよ。
これは、本当にその通りだと思いました。
もちろん、たくさん財産があり、受け継ぐものが多くあるようなご家庭はまた別かもしれません。
(ただし、その場合は多くは、すでに税理士などの専門家がついてサポートしてくれていることでしょう)。
けれど、一般的な家庭や、真正面から相続の話をし辛い場合には「家庭の歴史」という側面から、両親の思いを汲み取り、その先の相続について考えてみる、というのは、素晴らしいヒントだと思いました。
4:家庭の歴史を継いでいく
今年も、帰省はままならない、というご家庭も多いことでしょう。
そうだとしても、オンライン帰省や、電話で少しゆっくり話をする、などという機会はあるかもしれません。
そんな時に、こんな時だからこそ少しだけ、「家庭の歴史」という面に目を向けて親御さんと会話をしてみられてはいかがでしょうか。
もしくは、自分自身の家庭について振り返り、ご夫婦で、またある程度成長していらしたらお子さんも交えて・・・
「家庭の歴史」と「その過程で築き上げた財産をどうするか」についても、話し合ってみると良いかもしれません。
5:コウノ家の場合
ちなみに、私は思えば両親からずっと、
「教育費は、可能な限り出す。
でも、財産は残すことなく全部使う予定なので、よろしく」
と言われておりました。
そして、私自身も、現在、その方向で考えています。
このことは、これからも分かりやすくしっかりと、子供達に伝えるようにしたいと思います。