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「1秒先の彼 (One Second Ahead, One Second Behind)」(2023年 日本映画)
何をするにも周囲よりも1秒早く動いてしまうために、人生損ばかりしている郵便局員の男。一方で、何をするにも周囲よりも1秒遅く動いてしまうために、やはり人生損ばかりしている大学生の女。男は、ストリートミュージシャンの女性に恋をして浮かれまくっていますが、その女性の裏の顔を偶然目撃してしまった女は、たまたま発生した特異現象の一日を利用して、男を伴って思い切った行動に出るのです。そこから、この男と女が子供時代に知り合いであったことや、女が頻繁に郵便局に通っている理由が、次第に明らかになって来るのでした。
突拍子もなく絶対にあり得ない超常現象が発生すると言う設定で、しかもその発端となるのがある日常的時間の損得の累積と言うもっともらしい理由なのが、馬鹿馬鹿しくも面白いです。私自身もどちらかと言えば損な側だとずっと思って来たので、本当にこんなことがあったら辻褄が合ってよいな、と思ってしまいました。
男にとっては全く訳の分からないことが起こっていて、その鍵を握るのが、それまで目立っていたストリートミュージシャンの女性ではなく、ひっそりと出入りしていただけの大学生の女であり、そのエピソードの辺りから物語の主役が入れ替わって行く構成が、意外性があって面白いです。
ずっとずれたままだった二人のタイミングが、最後にようやく同期しそうになる予感で終わっていて、それがまた心地よい余韻を残しました。
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