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第36回 現代邦楽作曲家連盟 作品演奏会

現代の邦楽作曲家による作品の演奏会です。新作初演3曲も含めた6作品、それぞれに作風も編成も異なり、何れも物凄く楽しめました。

#五世常磐津文字兵衛 『二つの中棹三味線の為の三つのパラグラフ』(新作初演)は、太棹三味線2つだけの編成とは思えないほど充実した響きの、明快で歯切れよく変化に富んだ3楽章でした。楽器の特性を活かしつつも、楽器にとらわれない音楽としても成立していました。

#萩岡松柯 『道成寺より「鐘巻」』(2017年、2024年改訂初演)は、箏(と歌)2名と横笛に、何とシンセサイザーを加えた編成。歌詞の情景が浮かぶような音楽の効果が鮮やかで、特におどろおどろしい場面での音響効果は強烈でした。

#今藤長龍郎 『月しろ』(新作初演)は、歌と三味線と横笛の編成で、古典曲のような端正さと現代性を兼ね備えていました。

#野村峰山 『尺八コンチェルト「津軽風土記」』(2007年、2023年改訂)は、独奏尺八2名と、合奏尺八6名による、尺八の二重協奏曲。この編成できちんと協奏曲になっているのは勿論のこと、全パートのトリルが響き渡る中では不思議な浮遊感を感じたり、パート間の音の遷移のステレオ効果には体を揺さぶられる感じがしたり、特殊な体験でもありました。

#沢井比河流 『乱雅(らんみやび)』(2017年)は、2つの十七絃の編成。低音楽器の底深い響きによる丁丁発止の掛け合いには凄まじいものがあり、特に頻発する裏打ちリズムの連続には聴いていて頭がクラクラするような感じ。速い部分では、目の前で今弾かれているのに何をどうやってこんな音を鳴らしているのかもはや謎な位の超絶さでした。そして、この作曲者らしい音楽のカッコよさも全開でした。

#深海さとみ 『箏と十七絃による合奏群のための「浪よ」』(新作初演)は、独奏箏を含む総勢9名による箏合奏曲。發音楽器ならではのくっきりした刻みを土台に、箏独奏がうねるように動き回り、全体としては潮の満ち退きをも感じさせる、舞台映えのする曲でした。

以上の6作品、曲が面白いのみならず、何れも演奏レベルが極めて高く、本当にもれなく楽しめました。邦楽に興味がない人が聴いても、確実に楽しめるであろう曲も多くありました。邦楽と言うと、とかく古典の歌ものが多く、これが現代の聴衆を遠ざける一因であるように思っています。今回のような現代作品を採り上げる演奏家が増えて、邦楽の魅力に触れる人が増えるとよいと思います。

[2024/02/19 #演奏会 #現代邦楽作曲家連盟 #紀尾井小ホール ]

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