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「箏の祭典」沢井箏曲院創立45周年記念 関東支部演奏会

沢井箏曲院(1979年創立)の会員による記念演奏会です。沢井比河流・沢井麗や箏衛門メンバーなどのプロの演奏家から、生徒と思しき人たちまで出場していましたが、流石に演奏レベルは高かったです。ゲストに藤原道山(尺八)を迎えていました。

演目は、沢井比河流:上昇の彼方/乱雅/真美夜/絲と竹の時/絵空箏、沢井忠夫:Kのための斗為巾/戯/水面、これで面白くない筈がありません。変拍子や特殊奏法や捉えづらい調性が頻発する難しそうな曲ばかりでしたが、演奏はどれも上出来で、個々の作品の持つ魅力を十全に引き出していました。

曲に応じて編成は様々なものの、これだけの大編成の箏合奏を見た・聴いたのは初めてだと思います。本来は二重奏や三重奏のための作品であっても、大人数による合奏になると、音の重なりと揺らぎによる演奏効果が生み出され、面白さが増強されます。例えば「上昇の彼方」での弦を擦る特殊奏法が連続する部分など、ノイズの中からじわりと浮かび上がる和音の推移が、人数分だけ音が重なり合うことで、凄まじいゾクゾク感が醸し出されていました。

個人的に特に圧巻だったのは、沢井比河流(十七絃)と藤原道山(尺八)の二重奏による「真美夜」。十七絃の図太い低音による複雑な拍感の無機質な刻みと、尺八の変幻自在な響きによる奥ゆかしい和声感を伴う流麗な旋律が絡み合い、世にも美しい音楽が生み出されていて、聴いていて思わず涙が出て来ました。

「絵空箏」は箏協奏曲で、沢井比河流オリジナルのパープル箏(と透明スタンド)が鮮やかな見た目と音色を放っていました。また、三重奏曲の「絲と竹の時」は、箏と十七絃を合奏にしたことにより、尺八協奏曲的な演奏になっていました。その他の曲も、もれなく面白かったです。

ほぼ満席と思われる盛況でしたが、開場の1時間前から並んだ甲斐あって、最前列中央の席を確保できました。指さばきを至近距離で見られたのみならず、十七絃の低音の振動が床から伝わって来て、迫力満点でした。

[2025/02/23 #演奏会 #箏の祭典 #沢井箏曲院 #沢井比河流 #沢井麗 #藤原道山 #紀尾井ホール ]

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