トマトをイチゴに成型する【モノづくりログ移行記事】
【Notice】この記事はモノづくりログ(https://media.dmm-make.com/)のサービス終了に伴って、そこに投稿した記事を移行したものです。一部加筆修正もございます。
本記事は2018/07/21にモノづくりログに投稿したものです。元記事リンク
最初に
四角いスイカをご存知だろうか。デパートの果物屋さんでたまに売られている。
四角いスイカは大きくなる前のスイカに四角い型をはめて作る。
他にも海外ではかぼちゃをフランケンシュタインの頭にしたり、梨を赤ちゃんの形にしたり(縁起物っぽい雰囲気がする)している。
(これらはなんと呼ばれているか知らないがShaped fruitとかFruit mouldで検索するといろいろ出てくる)
ちょうどトマトを育てていたので、似た大きさで似た色であるイチゴの形にしてみた。
それを見た友人がショートケーキに乗せて食べたいというので、ケーキに乗っけるとこまでやってみた。
……なんのためにこんなことをしているのかと聞かれれば楽しいからである。
トマトは食べ物であり、生き物で、そういうものをコントロールして遊ぶのはマッドな感じがして楽しい。
ここで紹介する工程では、そんなに変な機械は使ってない。
3Dプリントは出力サービスもあるし、バキュームフォーム(真空成型機)も自作で充分だと思う。
みんな、ぜひまねしてほしい。
全体の計画
Shaped Fruitで検索したものを見てみると、厚みのある透明なプラスチックの型で実を両サイドから挟んでネジで固定しているみたいだ。
実が熟す時に光が必要なので素材は透明なんだと思う。
またテープや接着剤では実の成長に耐えられず、ちぎれたりはがれたりするのでネジで固定する必要があるのだろう。
計画としては
1.イチゴを3Dスキャンして大きさを調整した後、3Dプリンターで出力する。
2.出力したイチゴを雄型にして、バキュームフォーム(真空成型機)で型を作る。
3.型をトマトにはめてネジ止めし成長を待つ。
といったフローでやる。
最初から型を3Dプリンターで作らないのは、自分の環境で使える3Dプリンターでは透明のものが作れないことと、作れても3Dプリンターだと強度が足りないかもしれないからだ。
あと上記のフローだとたくさん型が欲しくなった時に量産しやすいというのもある。
型作り開始
イチゴは肉のハナマサで買ったとちおとめを使う。
スキャンはDMM.make AKIBAの日本電産の3Dスキャナー。
スキャンしたイチゴはトマトよりちょっと小さかったので、CADソフトでちょっとだけサイズを大きくしてデータを半分に分ける。
同じくDMM.make AKIBAのAFINIAの3Dプリンターで出力した。
これがバキュームフォーム用の雄型になる。
(イチゴのスキャンから3Dプリントするまでは写真を完全に忘れてしまった、、、)
この工程が半日もあればバンバン進むので、最近のものづくりってすごいなって思う。
慣れてないから時間がかかるとか、出来が悪くなるということに悩まなくてよくなってきてる。
そうして出来上がった雄型を六本木にあるものづくりスペースTech Shopに持っていき、バキュームフォーム(真空成型機)にかける。
Tech Shopには立派な真空成型機が置いてあり、めっちゃ便利で楽しい。
※2020/06/13追記:Tech Shopは2020/02/29を持って閉店してしまいました
バキュームフォーム(真空成型機)とは何かというのは下の動画がイメージしやすいと思う。
(少し前にクラウドファウンディングしてた家庭用真空成型機の紹介動画です)
図で示すと
熱 源
/↓↓↓\
ーーーーー ←プラスチックのフィルム
ぬ ←雄型
 ̄ ̄‖ ̄ ̄ ←ワークスペースと穴
‖
↓
真 空(空気を吸引する)
プラスチックのフィルムが熱源によって温められほどよくベロンベロンになったら、雄型に押し付けてワークスペースの穴から空気を吸引する、という仕組みだ。
フィルムとワークスペースの間の空気がなくなるので、フィルムが雄型の形に成形される。
では実際にバキュームフォームで型を作っていく。
上の写真のようにワークスペースに雄型を載せて、プラスチックのフィルムをセットする。
フィルムは今回はPET樹脂、厚さは0.5mmのものを使った。
フィルムを温めて、吸う!!
1回30秒くらいでできる。
フィルムのセットも慣れれば時間がかからないので、バンバン量産できる。
バキュームフォーム楽しい!!!
これを切り出してネジを通す穴を開ける。
トマトにかぶせる
まだ緑のトマトに型をかぶせる
そして数週間後……
After few weeks......
このようにイチゴトマトが出来上がります!
うっすらとした形と表面の凹凸はできたけど、まだ本物には遠い……か。
まだトマトなんだけど、ちょっとだけ違和感のあるような出来具合。
あとトマトの赤とイチゴの赤って全然違う。
ちなみに型ですが、実の成長に押されて少し変形してました。
1mm厚のPETでも試したのですが同じ。
さらに厚いもので作るか、もっと強度のある素材に変える必要はありそうです。
トマト・オンザ・ショートケーキ
では収穫したイチゴトマトをセブンイレブンで買ったショートケーキに乗っけてみたいと思います。
写真の男性は、トマトショートケーキを食べたがった友人山本さんです。
イチゴのような。トマトのような。
ちょっとショートケーキに対してトマトがでかい。
実食!
美味しいわけではないが、まずくもないとのこと。
食べられるらしい……。ヨカッタ。
一応完熟トマトにはなるはずなので、ちゃんと熟して甘みがあったのかもしれないです。
(僕はトマト苦手なので食べられない)
味は悪くないようなのでひょっとしたら、ちょっと料理の見た目にこだわりたい時とかにも使えるかもしれません。
あるいは贈り物として自分や相手の顔をした果実を送るとか。
まだトマトをイチゴにしてみただけですが、アイデアしだいでいろんな気持ち悪いことができそうだなと思う。
最初に書きましたが、CADは個人で使うなら無料で使えるものもあるし、バキュームフォーム(真空成型機)は自作もできる。
今回みたいな使い方なら自作バキュームフォームでも必要な精度出ると思う。
3Dプリントも出力サービスは色んな会社がやってる。
3Dスキャナーがどうしようもなければ、WEBで誰かが作ったデータを拾ってくるか、頑張ってCADで作ってもいいと思う。
みんな、ぜひまねして。
おそまつさまでした