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【追憶のビエネッタ】

ひとりのモンハンプレイヤーの回顧録、第一弾。
Twitterからモーメント機能が無くなってしまった事によるサルベージです。


「オオカミの狩猟目録」内の掲示板より転載。
砂塵の街ロックラックを愛する全てのハンターに送る、
ひとりのMH3プレイヤーの回顧録。

撃って 転がって リロードして
私のスタイルは変わらない
砂塵の前衛ガンナー 『暴れ撃ちネッタ』
しかし私は初めからそうでは無かった 私は田舎者だった

MHの旧作は 無印 G P2 を遊んだ
しかしいずれも『街』に繰り出すことは無かった OFF専プレイヤー
ココット村で ポッケ村で モガの村で
私の狩りはチャチャに出会うまではずっと一人だった

MHは私にとって面白いゲームだった
しかしトライでも ナバルを倒し お守りを集めるのに
勇気の証が70枚を越えるころ 私の中でMHは一区切りした
次にトライを起動したのは PC買い替えに伴い
無線ルーターを 導入した事がきっかけだった

私は おのぼりさんだった
初めての街は新鮮だった
何もわからない中 私はルーキーに一人部屋を建てた
思いがけず来客があり 初めてのマルチプレイ
気がついたら徹夜していた

その時はそれで良かったが
他のプレイヤーと遊ぶには気を使った
チャットは何を話せばいいかもわからない
定型文のみでの会話だった
私はクエの殆どを 今まで通り一人でこなした
ドスジャギィの強さに驚いた

トライは初めからガンをメインで進めていたが
私はガンナーではなかった
旧作では高台を使い モガの村では爆弾に頼り
水中ではランスに持ち替えた

ソリストとも言えなかった
一人で行くクエが普通だったのは OFFが長すぎたせいだった
しかしONの難易度を 一人でプレイするという
ソリストに対しての憧れは持っていた
私はロックラックを ガン×ソロで進めようと思った

トライのボウガンにおいて 貫通弾は力の象徴だった
私はそれに魅了されていた
リオレウスに勝てたのも バズルボローカのおかげだった
40分かけての捕獲 嬉しかった

私は紹介文に書いた
『リオレウス ガンソロ 捕獲に40分かかります』 今思えば痛い文
だがそれは 未だ出会わぬソロの達人と
4人目を待とうとする ルーキーの住人に対しての
控えめな自己主張のつもりだった

私はレウスで特訓することに決めた
毎回 毒爪を食らってしまう
思い切って『飛んだら納銃』を徹底してみた
食らわなくなった
次は突進の回避方向をアレコレ試した
振り返った時には 貫通弾の適正距離に居なくてはならない

ハンターランクが30になる頃
レウスの捕獲は30分を切った
夢中だったと思う
私はソリストになっていた

私はグリードの住人だった
上位序盤の壁は ルーキー上がりのソリストをあっさり阻んだ
初めて訪れたブレイブはカオスだった
私をほぼ一撃でキャンプに送り返すリオレイア
そのレイアは 高ランクのお手伝いさん達に容易に狩られた
私は理不尽を感じた

そんな中 初めてできたフレが 勧めてくれたのが求人区だった
そこでの狩りは快適だった
対象のモンスに最適の装備 ポーチの入れ替えも起こらない
苦手なチャットもここでは不必要だった

『楽しい』とは少し違ったが 必要な素材はみるみる集まった
また ここでは クエの最適な立ち回りや
集団戦でのセオリーなどを いくつか目の当りにできた

すぐにランクは50を超え 私はアルバ部屋に通った
ネットで調べたアルバ用のガンを組み
拙いながらも麻痺弾や睡眠弾を撃った
ただこれは 私のミッションでは無いと感じた

素材に不自由しなくなった頃
オンラインの有効期限が迫っていた
遊ぶのはこれからが本番だった
ここまで 20日間の無料期間で駆け抜けた私は
初めてチケットを購入した

ディアブロスへの思い入れは ひとしおだった
旧作以来の強敵は ガンのソロではとても狩りがいが有った上
貫通弾を撃つ者にとって ディア素材の防具は必携だった

全てのクエを終え 自分専用のガンが組みたくなった時
私が選んだフレームは ディア素材の『バズディアーカ』だった
初めてそのガンに 触れた時の感想は
控えめに言って 期待ハズレ だったものの
その扱い辛さは すぐにクセになった

防具にも個性が必要だった
ディアの腕は アイスクリームのコーンにそっくりだ
その事に着目した私は ディアの胴を外し
ロアルの胴・腰を使って アイスのフレーバーの色を表現した

なにせ私は『ビエネッタ』
往年の名作アイスから 名前を頂いたのだ
コートは勢いで3色仕立てた
自分のガン そして猟装が出来た時
私はようやく『ガンナー』になれた

撃って 転がって リロードして
私のスタイルは出来ていた
カメラは常に モンスを捕らえ
避け損なったら 秘薬を飲んだ
高価な薬を消耗するのは 油断した自分への戒めだ
立ち回りを見直し
討伐の時間が 1分縮むのを 是とする
それが私のロックラックだった

シンシアでの交流は心地良かった
ブレイブに馴染めなかった私は 過疎サーバーを拠点とした
同じようにそこに来る顔ぶれは
同好の士や ある種の拘りを持つ人達に思えた

何人かとは共に狩りに行くようになった
顔なじみになってしまえば チャットは容易だった
私は饒舌さを 発揮しはじめた
そんなある日 フレのガンナーと二人で居た部屋に相次いで来客があり
思えば初めての ガンナー4人の部屋になった

お客の1人は スカラーフードが印象的な
ストレートミドルでは無い 異色のガンナーだった
オシャレなガンナーは達人だ
私の安易な予測は クエ中に ある意味 的中した

クエはディアに行ったと思う
そのガンナー『白狼』からは 回復弾を受けた
自分に撃たれた事は初めてであったものの
この事は予想の範囲だった
予想外の事は ディアが吼えた時に起こった

耳を塞いだ私は 流れ弾に当たって動けるようになった
いや 流れ弾では無かった
二度目にそれが起こった時
白狼からの的確な狙撃であると気がついた
『解除』というテクニックだった

私は その刹那に
その技の背景には 何か深いものが有ると感じ取った
今まで ただ漫然と 集団で遊んでいただけの私は
その日 初めて本当の『集団狩猟の面白さ』を体感した
白狼が 私にそれを伝えるのに使ったものは
たった2発の通常弾だけだった

その後 白狼はまた 私に特別な出会いをもたらした
白狼の相棒の『機工士』 機工士が『ねえさん』と呼ぶハンター
そして 私と同じコートをまとい
同じく『短射程・左ブレ大』のガンを担ぐ『夢現の君』

いつしか ガンナー集団で臨む狩りは
私の中で 格別なものになっていた

ユクモへの道が開かれた後も
私はロックラックに留まった
MHP3が発売になっても 街に来てから まだ日が浅い私は
トライを遊び足りてはいなかった

猟友たちと 会う機会が減った中
私は『ソロリスト』を埋め始めた
1人で腕を磨いて みんなを待とう
先輩ガンナーに追いつきたい という気持ちは
新たなモチベーションになった

愛銃ではなく 高性能の貫通ガンを使ってではあったが
苦労の末 アルバ以外の☆6クエを ソロで達成できた
自信を得た私は 定型文を より自分らしく一新し
ロックラックの中では もうどこにでも行けた

多くの猟友が 再び街に戻ってきたのは 意外に早く
私にとっては嬉しい誤算であった
記念すべき狩りは『砂煙の舞踏会』と銘打たれた
私はもう 自分のミッションを理解していた
秘薬は減らなくなった

撃って 転がって リロードして
私のスタイルは 少しだけ変わった
カメラは常にモンスを捕らえ
避け損なったら 集中力を増す
受けた緑風に対する返礼は
モンスを撃って怯みをとる事だ

クエの流れを 感じ取り
高揚感を 是とする
逃走経路に罠を張り
定型文には何かを仕込み
チョコミント色のコートは いつも砂まみれ

それが私
氷菓子の名を戴く 闘角士
砂塵の前衛ガンナー 『暴れ撃ちネッタ』
一味違う 狩りはいかが?


モンスターハンター3は2009年発売のゲーム
原文の執筆時期は2011年頃です。







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