寿司を大きい声で頼めますか?
いきなりですが、
あなたは寿司を大きな声で頼めますか?
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先日家族で寿司屋に行きました。ファミリーも快く迎えてくれる
回る系寿司屋だったのですが、
握ってもらうには、回るレーンの内側にいる職人さんたちに
声をかけて注文するのです。
このスタイルの寿司屋をなんと呼べば良いのかわかりませんが
とにかく回っている寿司はわずか。
食べたいものは大きな声で「すみません!マグロお願いします!」
と言わないといけないのです。
前から気になっていたお店だったので外からチラチラ覗いてはいたんですが、
まさか、注文するスタイル!声かけスタイルのお寿司屋さんだったとは!
座った途端私と主人はきょとんとなる。
とりあえず、湯呑みにお茶を入れる…
とりあえず、醤油皿に醤油を注ぐ…
とりあえず、ガリをよそる…
とりあえず、回ってるやつを取って食べる…
頼めない!!!!!
そう、我々夫婦はこういう自分でお願いして握ってもらうスタイルが苦手なんです!(この寿司スタイルなんて言うんですかね)
なんか…気を遣ってしまうというか、タイミングがわからないというか。
他のお客さんの注文の波に乗れないんです。
普段からお店屋さんに対しては控えめな私たち。
家電量販店で値引き交渉なんて一切したくない。
ホットのドリンクを頼んだのにコールドが来ても
そのまま受け取る。
お店屋さんに気を遣うというかめんどくさがりというか。
あるもの、来たものを受け取るのが私と夫のやり方。
そんな私たちに自力でオーダーしなければならないとは
なんともハードルが高い!!!!
急に寿司屋で積極性を求められ固まる二人だった。
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たことマグロ!
マグロ3種盛り!
たいとイクラ!
かっぱ!
四方八方から来るオーダーに大将たちのあいよ〜!の掛け声。
い、いつ言おうか…。
まずそんな次々とオーダーが入っていて
職人さんたちは分からなくならないのか、
忙しいからもうちょっと後に言った方がいいのか。
忙しそうに握る職人さんたちに
すごく気を遣ってしまう私と夫。
席についてもなかなか寿司を食べられないことに
娘は異変を感じたのか
「なんでお寿司出てこないの?」と言われる。
ママたちが注文してないからだよ。
そう言うしか無い。
ドギマギしている間にも
次々と他のお客さんは注文する。
とりあえず目の前に回ってきたサーモンをとって
周りの様子を伺うと注文の仕方がいろいろあるようだ。
ある人は「マグロと、鯛とえびでお願いしま〜す」
…ほー、一気に頼む作戦ね
別の人は着席してすぐに
「白身三種ちょうだい。」
…三種盛り頼んじゃえば楽よね。
「ちょうだい」って慣れてるなぁあの人。
隣のカップルの男子は
「良いっすか?いくらとぉ、カッパで!」
なるほどフランクに行くのが逆にスマート。
余分な敬語とか邪魔よねー。
人々の注文の仕方で人となりが分かりそう。
ときどきやっぱり職人さんたちの記憶漏れがあって
注文したものが来ないことがある。でもそれは会計に換算されていないので
また言えば良いだけのこと。(皿が来れば会計に数えられる)
ある女性は記憶もれが何度かあったのでちょっと不機嫌になっている。
まあ仕方ない、こう言うスタイルの注文だから注文が漏れることもある。
そうやって観察しているとなんだか、
ここは寿司屋に見えて実は人格判定されているんじゃないか!
そんなふうに見えてきた。職人さんは寿司を握りながら
注文の仕方で人間の性格を分類しているんじゃなかろうか。
または、ここは国際会議の場。
各国の首脳(客)たちが次々と手を挙げ
自国の資源(寿司)を確保する。
だとしたら我々夫婦はこのステージで全く発言できていない。
資源が獲得できない!国民(子供達)たちが飢え死にする!
なんとも控えめな国なんだ、と思われているかもしれない。
完全に私たちは負けていたのだ。
この寿司屋のステージで全く戦えていない。
食べたいものが注文できない!なんと致命的な!
そんな危機的状況を脱したのは
我が息子!!
突然目の前の職人さんに
「すみません!カッパとタコください!」
どうやら周りを観察してなんとなく注文の仕方を理解したようだ。
「あいよ〜!タコはボイルか生どっちかな?」
「生で!」
「あいよ〜!」
「たこ2皿って言って!」
突然横から夫が息子に言う。
慌てて息子が
「たこ2皿で!」
「あいよ〜!」
夫は完全に息子の注文に便乗した!
息子は少し恥ずかしながらも頑張って注文していた。
えらいぞ!
そしてまもなくカッパとたこ2皿が来た。
嬉しそうに寿司を頬張る息子の横で夫もやっと食べられた。
おいおい、息子のおかげだぞ!!
そんな感じでタイミングを見計っては
注文するのを何回か繰り返した。
その度夫が
「それ2皿で!」
と完全に便乗スタイルにシフトしていた。
私は味も効率の良さも抜群の
「マグロ三種」を2回も注文できた。
それだけで満足であった。というかもうそれが私にできる
限界だった。
子供達は回ってる寿司も含め満腹になるまで
食べられたようだ。
目の前で注文して握ってくれるなんて
初めて見た娘は超ご機嫌でまた行きたい!と言っていた。
息子もうまかったー!と大満足のご様子。
しかし私と夫は控えめなオーダーによって
お腹は4割ほどしか満たされておらず
帰宅してから
ウーバーイーツでケバブ丼をがっつく私たちでした。