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「肉眼レフ」のすすめ

お気に入りの場所

誰しも、お気に入りの場所はいくつか持っていると思う。いつも同じ通勤路であっても、どのルートで歩くのが心が安らかか、また電車のどの席が落ち着くか、など。私はお気に入りの場所を見つけると、もうそこばかりにしか行かなくなる。「朝活をするカフェはこの店舗でこの席」「出勤前はこの橋の真ん中で空を見上げる」など、ピンポイントでお気に入りの場所を決めている。こだわりが強い気質と言われればそれまでだが、好きな風景を目に映すのは、一日に躍動感を与えるし、エネルギーにもなる。

ここでしばしば、ただ見ている感覚よりも、「目というレンズを通してビデオカメラを回している」感覚に浸る。この現象を「肉眼レフ」と呼んでいる。

一種のメタ視点

自分が見ているよりも、「テープを回している」感覚に浸ることで、風景を一歩遠くから見る事ができる。落ち着いてその風景を見て、楽しむことができる。これは一種のメタ視点のようなものだ。しかし、自分の視点であることから距離を置くことが、かえって自分の世界を楽しめるようになるのは、一体どういうことだろう?

どんな世界を写したいか

肉眼レフには記録機能がない。代わりに記憶機能が充実している。昨日の思い出について、ひとつひとつ具体的なコマを引っ張り出すのは難しいが、どんな気持ちだったかを引き出すことは容易い。これに気づくと、やたらにスマホで写真を撮ろうとしなくなる。過去の出来事に執着することなく、その場その場で楽しめる力がつく。

先日、思い切ってスマホの中の写真を全削除した。知人の笑顔、夕陽、イベントの風景がたくさん格納されていて、削除することを何度かためらった。しかし、記録から消しても、やはり記憶には強く残っているらしい。また写真を見返すよりも記憶を思い返す方が、幸福感が長続きする。もう少し、自分の記憶力を信頼しようと思った。

日々の暮らしで、どんな世界をこの目に映したいか。そう考えながら行動を選択していく。

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こにたん
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