チャーハンと寿司
チャーハンと寿司とはそれぞれ私の今日の昼食、そして夕食のメニューである。そして子供の頃から私の大好物トップ3のうち2つである。ちなみにあと1つはラーメンであるが、最近はつけ麺の方が美味しいことに気づき始めたので、ラーメンはその地位を脅かされつつある。
さて、ラーメンの地位の心配は置いておいて、今日は大好物のうち2つを1日のうちに一気に食べられて幸せな気分なのである。しかし今日一つ気づいたことがある。
晩ご飯には回転寿司に行ったのだが、この時「プルコギ寿司」なるものを食した。その名の通り、プルコギ味に味付けされた牛肉がのった寿司である。寿司好きからすると「邪道」と揶揄されるチョイスであろう。私も回転寿司で「たまご焼き」を注文する者を見ると、寿司への冒涜であると激しく非難するタイプなので(最低)、その気持ちはよくわかる。しかし私はプルコギが大好きなのだ。
その他数皿を食べ、「今日もお寿司は美味しかったなあ」と幸せ気分の帰り道、気づいてしまった。寿司という広いカテゴリーに分類していただけで、実は韓国料理に舌鼓を打っていたことに…!!
そう、ラーメンだけではなく寿司さえも3大大好物の地位を脅かされていたのだ。しかもわかりやすい競合相手であるつけ麺に取って代わられつつあるラーメンはまだいい。寿司の場合は、その広い器(カテゴリー)で家臣として迎え入れ、全幅の信頼を置いていたはずのプルコギ寿司の謀反である。まるで知らず知らずに体を蝕むウイルスのように、寿司帝国を内部から破壊しようとしていたのである。
そこで私は焦ってメニュー表を確認した。
…見つけた。「プルコギ寿司」の仲間と思しき裏切り者。「ハンバーグ」「イタリア産生ハム」である。ここまでウイルスの進行が進んでいるとは、、、時すでにお寿司。
ここでチャーハン高みの見物。「寿司よ、貴様のように誰彼構わず支配下に入れようとするから裏切られるのじゃ。」
確かにチャーハンというカテゴリーの狭さでは部外者の侵入はかなり難しい。侵入できたとて、麻婆チャーハン、レタスチャーハンくらいのものである。チャーハンのゆるぎない地位は普段からの徹底したセキュリティー管理の賜物である。
ここで江戸時代の大名配置が脳裏に浮かぶ。なるほど、徳川幕府も「プルコギ寿司」や「イタリア産生ハム」のような外様大名を江戸から遠くに配置することで反乱を防いでいたのか。
故きを温ねて新しきを知る。温故知新の精神を忘れなかったチャーハンの勝利である。
それを怠った寿司にもはや未来はない。
…………3年後。
好きな食べ物を3つと聞かれた私は笑顔でこう答える。
「つけ麺、生ハム、麻婆豆腐」