汚実家に私を取り返しに行く(1)
私は人生で一度も、片付いた気持ちのいい家で暮らしたことがない。
物心ついた時には雑然とした物の多い家にいて、最低限4人が食べる事の出来るスペースが確保された机と、幼い自分の身長より積み上げられた誰のか使えるのかもわからないものの横で敷かれた布団で寝ていた。洗濯物は畳んで箪笥にしまう、ということを知ったのは10代後半だったと思う。
小学生の頃、集合住宅から一軒家に引っ越した。
要るもの以外は捨てなさいと言われたが、片付けを学べなかった私はどうしたらいいのかわからず、引き出しをひっくり返し、全部段ボールに入れた。
新居の私の部屋には、引っ越し屋の段ボールが開けられることなく長い間鎮座していた。
私は20代で一人暮らしをはじめた。
仕事の都合でそうなったので本当は嫌だった。一人で暮らしていけるか不安で怖かった。でも3日もたたずに慣れた。むしろ気持ちは軽くて当時少し驚いた。自分がACだと微塵も思っていない頃なので、その理由が親から離れたからだとはまったく思わなかった。
家を出たとはいえ、仕事の都合で週2日実家に行っていたし、2年ほど前から続く鬱状態の母とそれをぼやく父に気をつかっていて、精神的には支配されていた。
当時の私は、仕事が不規則でハードだったので疲れ切っていて、今思うとかなりのセルフネグレクト状態だった。
片付けや整理整頓の前に、メーク落とさずこたつで寝落ち、シンクには汚れた皿の山を作るような生活だった。
一人暮らしをはじめた時にベッドを買っていたのだが、ベッドで寝たのは5年間で10回もないと思う。夏も冬もごちゃまぜの服が私の代わりにそこで寝ていた。
友人を招くときだけ一念発起して「それらしい部屋」を作った。でも片付いた部屋のガランとした感じが妙にさみしくてすぐに元に戻った。
結婚して夫と暮らしてからは、雑然としているが最低限はキープしている。(と、思いたい)
一人暮らしをはじめた時、実家の自室をだいぶ片付けた。
残っていた学生時代の参考書や年相応でない服を捨て、床が見える状態にした。思い出の品や貰ったもの、実家で仕事をする時の資料以外は捨てるか一人暮らしの家に持っていったので、自分史上一番部屋が片付いた状態で家を出た。
前置きが長くなった・・・。
続きます
汚実家に私を取り返しにいく(中編)|コニモツ/アダルトチルドレン