彼と私の境界線(前編)

夫は日用品の管理を担当してくれている。

家事負担は私が8割なのだが、生活費の負担割合、残業の有無、仕事内容の違い(現場有の管理職、納期のないデスクワーク)、一人暮らし経験の有無、と、私は自分の「こうやりたい」に反論されたくない性格であることから、不満はない。(私は。夫はあるかも・・・)

彼は「名もなき家事が見える人」だ。
結婚し一緒に暮らして2か月程のある時、食器洗い洗剤が全然減らない事に気づいた。おかしい、一人暮らししてた時はそろそろ半分くらいだったはず。なんならコレ、新品くらい重い、と。夫に「もしかして足してくれてる?」と聞くと、「あぁ、うん。たまに確認して足してるよ。」と言われた。全然気づいていなかったが、洗濯洗剤も風呂の洗剤もハンドソープも足してくれていた。しかも私が一人暮らしの家から持ってきた各洗剤の詰め替え用をいつの間にか買ってきていた。「え、うそ、ありがとう!全然減ってないから私ぼけーっと洗剤なしで洗ってたんかと思ったわw」「そんなわけないじゃんw」と笑った。

私はその時、「橋本環奈ちゃんじゃん」と思った。
環奈ちゃんのマネージャーさんは、環奈ちゃんとの共同生活を解消したあと、彼女が排水溝の掃除を黙ってしていたことに気づいた、というエピソードを思い出したのだ。
私は橋本環奈ちゃんを一目見た時からかわいくて好きだったが、このエピソードを知ってもっと好きになった。かわいいうえに気遣いの人なんて、最強やん、と。

そういえば、夫は私が連れてきたペット1のトイレ掃除もいつの間にか担当してくれていた。
朝一番でトイレ掃除をする私を何度か見て、「こうやるの?」と実践し、次の日から気が付いたらやってくれていた。ペット1は男の人が苦手だったが、夫にはすぐ懐いた。トイレ掃除を邪魔するペット1と夫のほほえましい攻防の後ろ姿を今でも覚えている。

ひとつ気づくと、そういえば、あれもやってくれてる、これもそうだ、「やっといたよー」と軽く言われたな、と次々浮かんだ。
天気の良い日にクッションを外干ししてくれている、袋に溜めた白トレーや牛乳パック等のリサイクルゴミを買い物ついでに出してきてくれている、私の車の黒スジを拭いてガラコ塗ってくれている、等々・・・。
たまに「名もなき家事問題」が話題になるが、彼は見える人なんだなーと思った。それを「やってやったぞ!感謝せよ!」と偉ぶらないところがまたすごいなと思った。私は感謝されたがりなので。

余談だが、私がそのまま「橋本環奈ちゃんじゃん」と夫に言ったら、「誰それ」と言われた。
この日本で、千年に1人のスーパー美少女橋本環奈ちゃんを知らずに生きてこれたことに驚いた。夫は自分からはニュースしか見ないので、なんとかひねり出して「ソリオのCMで踊ってるめっちゃかわいい子」と説明したら「車しか見てないからわからんわ」と言われた。環奈ちゃんとマネージャーさんのエピソードを説明する前に、環奈ちゃんの説明をするハメになった。
でもこないだ紅白を見て「この子橋本さんでしょ?」とドヤ顔で言っていたので、まぁいいや。



(前置きが長すぎる)

続きます

彼と私の境界線(中編)|コニモツ/アダルトチルドレン


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