7年間の引きこもり生活から社会に出るまで
私は16歳から23歳までの7年間家で引きこもり生活をしていました。
ひきこもりになるきっかけや引きこもり生活のことなどをまとめてみました。
ひきこもりになったきっかけ
私は学生時代から極度の人見知りで、新しい環境になじむのに時間がかかる子でした。
小学5年生の時に転入した時も、いろいろと前の学校との環境を比べ、悲しくなり目に涙を浮かべたり、中学校に入学した時も周りの子と仲良くなるのに時間がかかったり、上手くコミュニケーションがとれなかったり、中学校生活をまともに楽しめるようになったのは3年生に上がってからでした。
小学校高学年の頃に、同じクラスの男子から外見に関する傷つくような言葉を言われたり、態度をとられてからはちょっとした顔面コンプレックスを持ち男性恐怖症になり、中学生の時もまともに男子と目を話して会話することができませんでした。
そんな私が高校に入学した日の初日。
なぜか私は全く周りと馴染める気がしませんでした。
周りの人たちには何の問題もなく、みんな普通にいい子だったと思います。
それでも私は「ここで楽しい学校生活が送れない」と強く感じ、次の日から学校に行けず不登校になり、そのまま退学となってしまいました。
小学生の時にテレビのニュースで引きこもりの人が特集されているのを見て、何でひきこもりになるのか不思議に思っていたのでまさか自分がそのひきこもりになるとは思いませんでした。
ひきこもり時代の7年間
ひきこもり始めたときは当時大好きなマクドナルドに行ったり、好きな洋服を買いに行ったりと多少は外出していたのですが、ある日から一歩も外を出ることはなくなり日の光をほぼ浴びない生活が約7年間過ぎました。
ひきこもっている間は家で3食自炊をしたり、朝から深夜まで一日中テレビを観たり、インターネットでアニメを観たり、お笑い芸人などのラジオを聴いたり、イラストを描いたり、ひたすら2ちゃんねるを見たり、タイピングゲームをするなどして過ごしていました。
自炊経験やタイピングの速さは後の人生にも多少は活かされていると思いますが、私と同い年の子が学校生活で勉強したりいろんな経験を積み重ねている中私はほぼ何もしていなかったわけですからやはり無駄な時間だったと言わざるを得ないと思います。
お笑い芸人の中にもひきこもりを経験された方がいて、同じ経験をしてきた人の話を聞くと安心できたし、私と年齢が変わらない人が努力して活躍している姿を見ると自分のだらしない状況と比べて苦しい気持ちになったりしました。
自分の今後の人生に希望がもてず家の中ではいつも泣いていて、もうこれ以上生きたいとも全く思えず、恥ずかしい手段ではありますがお風呂に水をためて顔を沈めて溺死を試みたり、ずっと寝ないようにしてみたりと何度も自殺をしようと思いました。
自殺方法についてもかなり調べました。
もう自分の現世を生きていくつもりは全くなかったので、「来世はこうするのになぁ」と理想の人生計画を妄想したり、テレビで生きたくても生きられない人と比較して死にたい人を否定するような発言を聞くと怒りに震えたりしていました。
初めてのアルバイト
そんな日々の中、漫画「NANA」と出会い、仕事を頑張る主人公のハチを見て、私も働いてみようと思いました。
履歴書の書き方も面接の受け方もまったく分からず、面接の場で面接官から自分の回答に対して厳しいことを言われたりもしましたが、何十回か面接を繰り返して近所の飲食店で働くことが決まりました。
ところが、私は仕事がなかなか覚えられずメニューをとる時のハンディの操作ができなかったので注文を取りに行くことができませんでした。
自分ができることと言ったら皿洗いぐらいで、周りの社員の方からは怒鳴られてばかり。
1か月後には知らない間に店長が変わっていて、まだ一度も一緒に仕事をしたことのないその新しい店長から「この一ヶ月で何ができるようになったの?もう来なくていいよ。」と言われ、たった一ヶ月で私は初めてのアルバイトをクビになりました。
パン屋のアルバイトで社会に出る
初めてのアルバイトをクビになってから3年間程度また引きこもり、特に大きなきっかけはありませんでしたが、恐らく自分の中に「このままではよくない」という思いが蓄積したのかまた面接を何十回か重ね、パン屋さんでアルバイトを始めることになりました。
パン屋さんで働こうと思ったのはその時とてもパンが食べたかったからです。
ひきこもりからいきなり接客業は無理だろうと、求人サイトでも募集されていたパンの製造スタッフを希望しました。
ところが面接に行くと求人サイトで募集をかけていたにもかかわらず、製造スタッフは人が足りていると言われてしまい、接客スタッフとして採用になりました。
パン屋のアルバイトでも同い年や年下の学生バイト、ベテランバイトの人、製造の人、店長などいろんな方から厳しく怒られました。
特に製造スタッフの人からは店内で怒鳴られ、仕事ができないし素直な性格ではなかった私に問題があるとはいえ本当に辛かったです。
しかし、最初はいきなりムリだろうと思っていましたが接客業を通して人とのかかわりあいに少しずつ慣れていき、お客様から嬉しい言葉をもらったり、話をかけてもらえたりとコミュニケーションの楽しさを味わうことができました。
ひきこもりを抜けてから
パン屋のバイトを辞めてから何度か転職を重ね、いろんな職場で経験を積んでいきました。
今でこそ今後やりたいことの方向性が定まってきましたが、以前は自分が何をしたいのかが全く分からずかなりフラフラしてきました。
ひきこもりを抜けて数年経ってもやはり面接の場では7年間のブランクについて突っ込まれることは多く、突っ込まれるたびに泣いてしまいそうになるのを堪えながら自分なりに説明しました。
今も生きていく中でかなり辛いことは何度もありますが、死にたいと思ったり、またひきこもりたいと思うことはありません。
他の人が高校生活・大学生活を楽しんでいるときに引きこもり、20代前半は仕事ができないあまり周りの人に怒られてばかりだったので、10代20代で仕事や学業を頑張っている人やしっかりとした考えを持っている人を見ると本当にすごいなと思います。
ひきこもり生活では勉強など今後の人生に役立つことは何もしていませんでしたが、今持っている人一倍溢れる向上心や好奇心などの情熱はもしかしたら長い間ひきこもって何もしていなかった期間があったからこそ得られたエネルギーなのかもしれません。
今ひきこもりの方へ
私と同じように今もひきこもりに苦しんでいる人がいたとしてもなんと声をかければいいのかは分かりませんが、今感じるのはとにかくこの世の中には楽しいことがいっぱい溢れているということです。
たくさん美味しいものがあり、いろんな素敵な人がいて、仕事が本当に楽しい。
もともと仕事ができなくてつらい思いをしてきましたが、自分の能力は努力次第でいくらでも高められる、人生は自分の力でいくらでも変えられるのです。
ずっと家にいた人にとってたった一歩外に出ることだけでもかなり大きな勇気が要りますよね。
アニメ「電脳コイル」のEDテーマ「空の欠片(作詞・作曲/池田綾子)」の歌詞の一節には涙がこぼれました。
踏み出す一歩目は小さくていい
大きな勇気がいるから
たった一歩ですが大きな一歩です。
まずは家の扉を開けて、外に出てみることから始めてみてください。
それだけでとてもすごいことなんですよ。