
小さい会社を経営している元彼
まず、生活費を援助してくれていた彼と別れたのは間違いだったのでは?
と、考えた。
彼は自動車整備会社の経営者。
社員一人だけの小さい会社。
「俺は社長だから」みたいなことをよく口にするところが、嫌いだった。
この時点で彼とは一年間の付き合い。
私が会社を辞める時
県外の関連会社から「うち来てもいいよ」と声を掛けられた。
通勤はとても出来る距離ではなかったので、先方で社宅を用意してくれるとのことだった。
それはありがたいが、私は持ち家に住んでいて長いローン支払い中。
いずれ息子に譲りたいので家は手放したくない。
そこで、彼に相談をしてみた。
彼はアパート暮らしだが、アパートへはシャワーを浴びに帰るだけで、食事も寝るのも自分の会社の事務所だ。
なので、私の留守中にうちに住んでもらうのはどうだろうか?
もともと週末しか会ってなかったので、私が週末に帰れば会うペースとしては変わらない。
ただ、猫の世話だけは申し訳ないけどお願いします…と。
一旦は「いいよ」と言われたが、本心では賛成はしていないとのことで、結局やめることにした。
やめるとなると、私は仕事が無くなる。
ちなみに、その時はコロナでどこも求人なんて出していない感じ。
すると彼が
「生活は助けるから」
と言ってくれたのだ。
「助けるというのは養うということ?」と聞くと「そうだ」と言うので、もう彼に、残りの人生預けるくらいの覚悟をした私。
そして、そこから動画編集の勉強を始め、家で編集の仕事をしようと決めたのだった。
在宅仕事なら、食事や洗濯が大変だという彼の手助けも出来るだろうと思ってのこと。
一緒に暮らすという選択がなかったのは、お互いに「一人の時間がなくなるのは嫌だ」という気持ちがあったから。
彼が一度も結婚をしていないのも、そういう理由なのかなと思った。
事実婚状態の彼女はいたようで、しかもその彼女との間に子どもも生まれ育てていたようだが…
この問題で後々にもめることにもなる。
さて「生活を助ける」「養う」とは言われたが
実際どういう形でやっていくのかが不明瞭。
周りの人から「月々いくら入れてもらうっていうのを具体的に決めた方がいい」と言われたので彼にそう話した。
すると
「俺はサラリーマンじゃないから月々いくらって決められてもその通りには渡せない」
とか
「そもそも全面的に養うなんて思ってもいない」
などと言い出した。
全面的じゃないと言うのはどういうことかと聞くと
「たとえばあなたの子どもが借金を返せなくて困っているときに俺を頼っても助けるつもりはない」
と、トンチンカンなことも言い出す。
「そんなことはこっちこそ考えてない。
あくまで私の生活を助けてくれる。私を養ってくれるということでしょ?
そのお返しとして、私が食事や洗濯など困っている部分を助けるよ」
と言うと彼は
「そんなことは求めてない!」
強い口調で返してきたあと、さらに
「正直あなたのことを100%信用できていない」
と言ってきた。
かなりショックだった。
一ヶ月ほど会わない日が続き連絡もしなかった。
ある日彼がぽんと100万円を持って現れた
「これで一年間ぐらいの生活費の足しになるでしょ!」
たぶんコロナ助成金が入ったのだろう。
そこから自然に一年間は付き合っていた。
私も編集仕事を継続でもらえるようになり、自分の小遣い程度は稼げるようになっていった。