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習慣化できるかどうかは仕事人生を左右するか

私は農家で生まれた。
だから、私の労働観は何年たっても、両親の姿であり農業というモノづくりの仕事が原点にある。

子供時代の体験といえば、毎日やんちゃして過ごしていた。遊びと言えば、ほぼすべてが自然の中だ。川で魚を釣り、海で貝をとり、草むらでかくれんぼする毎日だった。

同時に、農作業に明け暮れる両親の背中をずって見ていた。
中学校になり、大人になったらどんな仕事をしようかと意識が芽生えてきたと記憶している。多分、学校でもそういう話題も増えてきた。中学時代の私はなぜかタクシーの運転手になろうと思っていた。タクシーに乗った体験もなかったかもしれないのに、なぜそう思ったかは覚えていない。

多分、農業という仕事がとにかくしんどそうで、かつ、重労働に思えたからだと思う。もっとも、私は、次男なので一般的には、農家の後継ぎではない。だから、気楽に考えればよいものを、なぜか子供心には、とにかく農業が嫌に思えていた。

小学校の3年生ぐらいから、繁忙期は、来る日も来る日も農家の手伝いを親父から割り当てられた。それこそ働かざる者食うべからずだ。農業はいまでもそういうところがあるが、家族は皆労働者だ。
こんな環境で親が働く姿を見て、働くことや仕事を意識してきた。

今、会社経営をしていて、仕事人生を振り返ると、ビジネスの世界ですでに40年近くになってきた。この先、あと10年、20年ぐらいは何かはしていると思う。

改めて仕事で一番大切なものは何かと聞かれたとしたら、迷いなく習慣化と答える。

私自身の経験上もそうだが、人間はとにかく習慣化が苦手だ。そもそも動物としての本能的な性質からいえば、本来は習慣化は不要なことではないかと思う。激しい生存競争の中では、習慣化だけで生き延びられるとは思わない。今は漠然とそう思っているが、機会があれば、このあたりも学んでみたいと思う。

実際、私も仕事を通して、数多くの習慣化の現場に遭遇してきた。
見よう見まねで始めた会社経営だったが、創業時は社員教育に明け暮れた。今にして思えば、素人集団同然の50人ほどの社員をどうやって習慣化するかに腐心した。それも組織の方針や目的をしっかり理解させて、その実現に向けて、一人一人の習慣化を実現する。そして、それをチームとして組織的に習慣化する、こういうプロセスだった思う。

顧客に対しても数多くの業務改善支援やIT導入支援なども現場で手掛けていた。私は結構、現場が好きで40歳前後の時は、こういう現場で働くことにのめり込んでいた。その後ベトナムでも社員教育サービスの現場を数多くこなした。

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この時期に悟ったのが、国は変われど人間はみな一緒である。日本の企業でも、外からはすばらしい企業をに見えていても、きっちりした組織のように思っていても、中には入ってみたら皆課題は一緒である。

そうして私の得た結論というか本質的なことは、元来人間は怠け者であるということだ。
だから人間は習慣化が苦手な動物である。
そうして私の会社では性弱説を企業支援や社員教育支援の原点にするようになった。
まずは、自分の会社で試そうと思って、あの手この手で習慣化に取り組んできたつもりである。

私はどうなのかといえば、もちろん、私も習慣化は苦手である。私の子供時代、学生時代、20代の社会人の時、このあたりで私のご縁があった人達から、私の通信簿をもらうとしたら、落ち着きがなく、飽き性で、継続性がないと評価されるだろう。

私は動物的な感覚で過ごしていた時期は、怠け者だった。自分のことを書き出したらきりがないのでこのあたりで止めておくが、冒頭で書いたが、今にして思えば、農業を営んでいた両親は習慣化の塊だったように思う。 

毎日ほぼ同じ時間(もちろん、農業なので季節変動はある)に起床して、毎日同じような仕事をして、毎日似たような商品(サツマイモや大根)を市場にもっていく。少なくとも農繁期には数か月はこういう状態が続く。こんな姿を身近で感じていて、私は、自由に見えるタクシーの運転者に憧れていたような気がする。

もちろん、今は、タクシーの運転手も習慣化ができていないと務まらないと分かっているし、どんな職業もしっかり働いて評価されている人は習慣化ができている。
逆に言うと、習慣化できなくては、一過性で結果は出せても中長期的には不可能だ。

色々と書いたが、最後にまとめてみる。
働きだした最初から仕事のレベルにおいて、習慣化できている人は極めて少ない。
働きながら少しずつ習慣化は身に付けるものだ。
特に駆け出しのころに習慣化を体で覚える。そうすると、一生、習慣化の毎日を前提で仕事に取り組むことができるようになる。
結果的にどんな職業でも務まる。

働いて対価を得るためには、やはり、習慣化が前提の経済の仕組みの中に適応しないといけない。習慣化するのは大変だけど、身に付けてしまえばどうってことはないのである。

以上