BtoBを視るとより社会が見えてくる
またまた、学生の就職活動が始まる時期が来る。
コロナ禍の影響で去年から就職活動が様変わりした。今年もこの流れは続きそうだ。
春先から日本の名物とも言える、リクルート服に身を包んだ学生が街を闊歩する姿は今年もお目にかかれそうにない。
こういう日本の風物詩とも言える就職活動は、どうも日本だけの独特のものらしい。
今年は、一気にオンライン就活が定番化すると思う。期待値を込めて先走ると、コロナ禍が収まった時、再び従来の就職活動に戻るかと言えば、完全には戻らないだろう。
オンライン面接が一気に定着するとは言えないが、少なくと動画でのプレゼンも当たり前になるだろうし、極端に言えば、AI君が選考者の一人になるのは大企業では当たり前になる。
採用活動に膨大なコストと労力をかけてきた企業にはメリットである。様々な要因が重なって、企業も学生も大きな変革期にあると言える。
ただ、今の学生にぜひ知っておいてもらいたいことがある。
私は創業時から学生採用の際に、“会社は社会の入り口である”と、伝えてきた。
今はこれが高じて、採用活動とは関係なく学生に社会のことを発信している。
今後は、オンラインを使ってもっと多くの学生に伝えたいと思っていることがある。
今日はその一つを書こうと思う。
BtoBやBtoCという表現を知っているだろうか?
ビジネス界では今や常識となったが、会社の取引形態をシンプルに表現したものである。大まかに書くと、会社の顧客が個人か法人かで分けることが出来る。もちろん、両方の場合もあるし、もっと、入り込んだビジネスの形態もある。
まずは、単純にこの2つで話を進る。
親の職業とか、身近の人の影響がない限りは、会社で実際働くまでは、ほとんどの生活者はBtoCの会社と接することになるので、BtoBの会社の事をあまり知らない。
テレビCMにしても、BtoBの会社はあまり見かけない。TVなどのマスメディアが生活者を主たる視聴者としている以上、至極当然のことである。
比較として、タクシーのサイネージ広告を見るとよく分かる。今どき、タクシーにのると座席の前のディスプレイに広告が流れる。結構、BtoBが多い。東京などでは特にそうだ。決裁権のあるビシネスパーソンや経営者が乗る確率が高いので、なかなか良いところに目を付けた広告だ。
世の中は、商品をダイレクトに訴求する、企業のブランディングのためのイメージ戦略など、色々と広告に囲まれている社会と言える。
感覚的には、これらの広告は9割近くが、BtoCである。また、日常生活していても、スーパーに行っても、コンビニに行っても、商品を通してBtoCの企業名が刷り込まれる。
こんな感じで、少なくとも一般的な学生は、BtoCの企業を認知した状態で、就職活動が始まることとなると思う。
もちろん、自分の専門や大学の推薦で動けば、ブレることはないが、今は、社会全体が激変している。社会の事を知るためには、BtoCの企業だけ見ても不十分だし、かといってBtoBを積極的に知ろうとしても、今度はつながりが見えないことになる。
サプライチェーンという言葉がある。食関係であれば、似たような言葉にフードバリューチェンというのもある。要するに、商売は皆つながっているのである。
例えば、チョコレートの原材料はどこから来ているか?私の年代にはガーナが真っ先に浮かぶ。
今やSDGs企業としてのエクセレントカンパニーであるネスレなどは、原材料の調達元にも責任を持っている。そしてこれを見える化している。
エシカル消費がひそかにブームになりつつある。これは、商品だけ見るのではなく、その材料がどこで生み出され、どういうサプライチェーンに乗って供給されているかまで、意識を高めて、環境にやさしい、健全なビジネスをしている会社の商品を選択しましょう。というイメージだ。
すでに20年以上前から、会社選びではなくて、社会を見ましょう。と私は伝えてきた。
今、就職活動が始まる学生に伝えたいこと。BtoCであろうがBtoBであろうが、無限にも見える複雑なサプライチェーンの中の一つに過ぎないという事を意識して、少しでも社会を学んでから会社を選んでほしい。
少なくともBtoBtoCの意識で、BtoBもBtoCも見てほしいと思う今日この頃である。
以上