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シニアが起業する人生を考える

日本の起業は欧米などに比べると、起業率も廃業率も低い。簡単に言うと、今の日本人は起業意欲が低いとなる。

実際に、安定志向の人が多いのは、今更言うまでもなく、今の日本の働く人の総じての傾向だ。端的に言えば、優秀な大学を出たら起業する米国と、頑張って良い大学に入ったら公務員か大企業に勤める日本との違いだ。根の深い課題である。

そうは言っても、国の経済政策としても起業家は増やしたい。一般男性がその気にならないのであればと、女性起業家、シニア起業家にも目が行くようになった。
私の持論では、これに加えて新興国の人達を長い目で支援することも、相手の国にとっても日本の国にとってもプラスになると考えている。

概ね、日本の起業する世界の現状はこんな感じだが、シニアの起業が増えるのは間違いないと思う。一つは、単純に起業年齢が高齢化している。これはデータでも明らかだ。

もう一つは人生100年時代。
仮に一つの会社に40年勤めあげて、次の職を探すとして、都合よく希望通りにあと10年、15年雇用してくれる会社が今どきあるだろうか?

もちろん、全く可能性がない訳ではないが、受験勉強を乗り越え、良い大学に入り安定した会社に入る、こういう道よりもはるかに厳しい選択になるだろう。
狭き門であることに加えて、世の中は激変している。それこそ、今流行りのDXの世界で変化適応しながら幾つになっても活躍できる人であれば、別だが、普通に考えたら、長年の勤務でさび付いたスキルはそう簡単には磨きをかけることはできない。

そうなれば、仮に消極的な選択肢としてでも、独立を考えた方が良いと思う。もちろん、独立や起業は本来積極的にするものであるが、シニアにとっては、必ずしもそうではないと思う。 

実際、私の知り合いの中には、会社員を長年やっていて、50歳過ぎから独立して未経験の分野でコンサルタントとして成功した人もいる。全盛期は億単位のお金を稼いだ人もいる。やる気になれば、幾らでもチャンスはある。とはいえ、なかなか真似ができる芸当ではない。

では、消極的な独立や起業とはどういうことかであるが、それは自立である。つまり、言い古されてはいるが、会社のブランドや役職で仕事をしない。自分の力で仕事する。会社を退職するとただの人。世の中で、こういう悲哀の話は話題に尽きないし、映画化されたりする。

昔のように、退職=老後を楽しむ時代なら何ら問題はなかったが、今は違う。
残りの10年、20年をどう過ごすか。
これは大きな課題である。
そのためにも、せめて中期スパンで考えて、まずは自立する。そうすると、自分の客観的なスキルも分かるし、今の世の中で足りないものにも気づく。
極端に言えば、ある程度大きな会社にずっといるということは、井の中の蛙である。タコつぼやサイロにずっと閉じ込められていたようなものである。仮にグローバルな会社にいたとしても、それは所詮その会社の社会の中しか知らない人になっているだけのことである。

若い時の様なチャレンジングな華々しい、リスクテイク型の起業を狙うシニアがいても良いが、現実的には、消極的でもよいので、自分の名前で、自分の責任で、自分の足で、自分の魅力で、仕事をしてみる。
最初はとても厳しい道のりになると思う。

ただ、根気よく続けていれば、収入は直ぐにはついてこないが、間違いなく学びが沢山あるし、知らず知らずのうちに、新しい筋肉が蘇ってくる。
そういう意味では、個人として独立するにしても、起業するにしても、1年ぐらい無収入でも食べていける軍資金は持っておかないといけない。
第二の人生への投資と考えれば、とても安いものである。

そして、私がお付き合いしている70代で独立している方々は、皆楽しそうである。

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以上