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再現可能な身体表現について 〜2章:舞踏譜について〜

世界最古の壁画は6,7万年前に描かれたものだそうです。その後言語という不可思議なものがされ、それが文字として書かれ始めたのが紀元前4千年。音楽が記され始めたのが紀元前300年、などなどいろんなものを、情報を保存し広めるために、紙に書き記してきました。

バレエのような複雑さを有する総合芸術を紙に記述する、というのはどのように実現されているのでしょうか。バレエが可能であれば、ジャグリングも可能なのでしょうか、というのが今回の趣旨です。

ところで、なんでバレエの話をしているのか?というところについては前回、前々回を参照ください。

バレエの舞踏譜については先行研究が豊富でして、すでにその歴史や方式については論じられています。やはり市場規模がでかいというのは正義。力こそパワー。

舞踊記譜法 - 用途、歴史、分類、そして応用 中村美奈子
https://www.arc.ritsumei.ac.jp/archive01/jimu/kiyou/vol2/10.pdf

記法についてはいくつかあるようですが、今回は最も普及しているらしき、ラバノーテーションについて取り上げます。いい参考サイトがありましたのでほぼパクリでいきます。

Sunday Inspiration: Labanotation
https://www.irenebrination.com/irenebrination_notes_on_a/2024/01/labanotation.html

まず、ラバノーテーション自体はこのような記法になります。

すっげえ抽象的。。。そもそもラバノーテーション自体が「身体の動きを研究対象とした場合の、言語による記述の限界」という問題意識から考えだされたものなのでこのようになっておるようです。3本線を引いて、真ん中が体の中心、右の線が右半身、左が左半身、そして下から上に向かって読む。
具体的にどう読むかを説明してくれている動画があるのでそちらを紹介します。お姉さんありがとう。

ははぁ。なんというか、とってもシステマチックですねぇ。
さらに音楽も個人の動きもあり、複数人が同時に演技する場合はこのようになります。

左に楽譜があり、これが「このページが今どの時点か」の表現と思われます。数字は小節でしょうね。145〜148小節。ONQJD〜Fの文字列は踊り手を、そしてラバノーテーションで個々の体の動きを、下段で全体のステージの動きを合わせて記述。
これは読み解くのに時間がかかりそうです。調べた範囲ではラバノーテーションを読み解く専門家が存在するようなので、実際には、踊り手がこれを見て振り付けをイメージするというよりは、演出家と翻訳家が見て、イメージを膨らませるのではないかなという感じがします。

なおラバノーテーションで書かれた譜面を元に、CGを作ろうという動きもあるようで、今後注目です。

複雑な動きを紙面に残す方法としての要点は、「今が演目のどの時点なのか」ということと、そこでどう動くか、をリンクさせて記述するということができれば良さそうです。
バレエでいうと、どの時点かは楽譜を使用し、その時点でどのように動くかをラバノーテーションで、舞台上のどこにいるかは別の方法で記すことで表現できます。
ジャグリングでは、身体の動きを表現する、というところについてはラバノーテーションを使用すればできそうなので、これとサイトスワップを併記すればよさそうな感じがします。しかし、ヘッドストールなどの、サイトスワップでは表現しきれないところとか、無音の演技をどう残していくかなどが今後の課題かなぁとぼんやり思っています。

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