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番外編7 習性を知れば馬は怖く無い❸ 馬のパーソナルスペースを考える

前回は馬が何に驚くの?という記事を書いてみました。

さて、あなたは他人との距離に悩んだことがありませんか?
人と人の間の距離感の取り方は、時に難しいことがありますよね?
離れすぎていればよそよそしい気がするし…
かと言って
近すぎると圧迫感を感じたり、緊張してしまったり。

人と馬の間の距離の取り方も、知らないと馬を緊張させてしまったり、馬から舐められてしまって、言うことを全然聞いて貰えなくなることがあります。

と言う事で今回のテーマは

馬のパーソナルスペースについて考える

です。

馬に限らず、ヒトも含めた動物は、自分の身の安全を保つためにパーソナルスペースを持っています。
「この範囲内に近づかれたら逃げろ!」
あるいは
「こいつは敵ではないからこの範囲まで近づいても大丈夫」
という距離感みたいなものですね。

この結界みたいな距離は、具体的に3メートル以内とかの数字ではありません。

馬にとって
味方か敵か?
物が見える範囲である視野
嗅覚で感じ取れる範囲
敵が来たときに逃走ルートが確保できるか 
見慣れた場所か未知の場所か

等々の要素が複合して影響し、その場その時でのスペースを形成するので、常に変化しているとも言えます。

想像💭してみてください。

夜道をひとりであなたは歩いています。
前方から知らない人が来ました。
道の反対側を向かって来るのと、正面から来るのとどちらが緊張しますか?
または、後ろから自転車が来る気配。
道路の反対側を来るのと、同じ側を追っかけて来るように近づいてくるのでは?
同じ側を後ろから近づいてくるのが一番緊張すると思いませんか?
道路という緩衝地帯があるかないか?
見える前方から来るか、見えない背後から来るのか?
同じ距離にいても緊張感は違いますね。

馬に余計な緊張を与えずに、距離を縮めていくためには、馬の前方からゆっくり近づいてあげるのがベストです。


馬の歓心を得るため、おやつ🍪をあげるのもあり🤭

馬の誘導へ応用する

馬を引いて誘導する場合にもパーソナルスペースの考え方が役に立ちます。

馬の前方のスペースを使うより、馬との距離感が近い馬の左肩のあたりのスペースを使います。
このスペースに入り込むのです。
さあ行くよ!と首の辺りをタップしてあげられれば、入り込めたと思って良いでしょう。

競馬馬がゲートに入る時や機嫌が悪い馬を連れて馬場に向かう時などの誘導では、人が先に行き、馬をグイグイ引っ張っていくイメージがありますが、これは理想的な誘導ではありません。

先ず、馬の左側に立って、一緒に歩くことをイメージしてみてください。

そして、引っ張って動かすのではなく、自分が少しだけ動きます。ついてこなければ、手綱を引いて動きを促すサインを出します。
引っ張って動かすのではなく、馬の動きを待つ感じです。
馬が動きだしたら、馬と一緒に歩いてやる感じ。

馬の左肩のスペースに入り込んで、並んで歩く関係になれれば最高です。

ただし、馬が勝手に先に行く事を許してはいけません。そこは主従関係をはっきりさせる必要があります。馬が歩くのを待ってやる気持ちは大切なのですが、勝手に先に行こうとしたら止まれの合図。
ここではハミを引いて止まらせます。

馬場に行く前に、馬のパーソナルスペースに入り込み、その段階で主従関係を確立できれば、馬場での馬の動きも円滑になります。

決して馬と綱引きしてはいけません。
綱引きしたら馬に勝てませんよ。

しかし、もし、馬が嫌がって動かないような場合には諦めたら負けです。
馬が諦めて動く前にこちらが諦めたら負けです。

馬は
《拒否したことが通じた!しめしめ(笑 )》と思ってしまいます。

逆にパーソナルスペース内で主従関係が確立できれば、馬の信頼を得たのと同じです。

「パーソナルスペースに入れた」ということは、あなたが
「馬が自分の味方と感じる存在」として承認されたということになります。

パーソナルスペースへの入り方。
イメージできましたか?

これは、人と人の間のスペースの取り方にも応用できそうですね。

では、また!


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大村義人(ペンネーム )/じーちゃん
お心遣いに感謝いたします。 いただいたチップは、ウマのおやつ代にさせていただきます。🐴