読んだ本台湾関係3冊「街道をゆく40 台湾紀行」「台湾」「いま、台湾で隠居しています」

初めて台湾で個展とライブペインティングをしたのが2015年。(初めて台湾に行ったのはちょうど2000年。今から21年前の大学院生のとき。大学の恩師と台湾の森林を見に行ったのだ。森林鉄道に乗ったり高山地帯の素晴らしい針葉樹林による森を歩いたり、、、日本でいう営林局の方達と出会ったり、、、21年前の台湾、、、もっと写真とか撮っておけばよかったよ。。。)

それから台湾のことを好きになりまた興味を持つようになった。せっかく関わったのでやはりなるべく学びたいので時間が取れると本を読むようにしている。

それで最近に読んだ本はこの3冊。

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それぞれ上から
『台湾』著:伊藤潔/中公新書
『台湾紀行 街道をゆく40』著:司馬遼太郎/朝日文庫
『いま、台湾で隠居しています』著:大原扁理/K &B PUBLISHERS

1冊目の中公新書は刊行時期が古いから李登輝さんが総統になったばかりまでの台湾の歴史の説明だから古いといえば古いのだけどそれまでの歴史を知るのは本当に充実の内容。ざっと台湾史をつかむのには本当に向いている。最初の最初からずっと台湾はよその人による外来政権による統治だったということ。そこにずっと現地住民への抑圧と抵抗があったということ。だからこそ今の民主主義の発達と議論の深まりがあるのだと思う。この本は各歴史のタイミングや事象をさらに詳しく知りたいときに参照先となる文献もたくさん知れることもいいことだと思う。

2冊目の司馬遼太郎さんの紀行もめちゃくちゃ面白かった。1冊目と逆に司馬遼太郎さんが個人的にもお付き合いがあった李登輝さんとの対談があったり李登輝さん以降の苦労しながら危ういバランスの中で民主主義を発展させていく模様が描かれている。ドキュメンタリーならではの司馬遼太郎さんのフィルター越しに見えてくる台湾の方の紀行や風景や人々の気風も生々しく伝わってくる。純粋に今は見れない景色もたくさん知れて嬉しいと同時に「あぁ、この景色には間に合わなかったな」という寂しさも。身勝手な寂しさかも知れないけれど。

3冊目の本は上記2冊と打って変わってまさに現代台湾の話。しかも政治とか歴史とかではなくて本当の生活そのものの話。(といってもジェンダーマイノリティである大原さんが台湾で隠居生活するというその視点ゆえにそこから台湾の政治なども見えてくるのだけど)

大原さんのスタンスからしか見えてこないものがあるのがたくさんあり、それを知れてとてもよかったと思う。彼はいろんな意味で僕たちが無意識に囚われているであろう視界の枠組みの外にい。ジェンダーマイノリティというからジェンダー的に。隠居ということで社会システムから。そして台湾にクラスということで日本から。

そのいろんな束縛から逃れた人のみが持つフラットな視点にいろんなことを気付かされた。何よりも日本の社会の閉塞感や同調圧力の息苦しさ。本当になんで僕たちはもっと寛容になれないのだろうと思う。もっと他人にゆるく接することができれば本人も周りもかなり平和なのにね。
それにしても大原さんの肩肘張らないい脱力した姿勢と文体もすごく好き。上品だし。

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