読んだ本『空海入門』/ひろさちや著/中央文庫

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部屋を片付けていたら出てきた本。久しぶりに読んでみた。

多分大学学生の頃に読んだ記憶があるけれど、内容はすっかり忘れていた。あの頃なんでこの本を読んだのかも、その中身も全部忘れていた。こうも綺麗に忘れるのかとびっくり。

これは学術的とかそういう意味での空海についての本ではない。

ひろさちやさんが空海にどっぷりと浸ってしまってそのモードで「密教」についてのひろさちやさんなりに腑に落ちた感覚を伝えてくれる本である。(だからこの本を歴史的にとか学術的に空海を知るには向いていない。実際小説的な解説もたくさん含んでいる)


その感覚が生き生きとしているのが好き。

ひろさちやさんによると超シンプルにいうと「密教とはまずいきなり仏陀になってしまうこと。まずは仏陀に飛び込み、そして仏陀として生きること」なのだ。

こういう風にひろさちやさんが心から納得した密教の感覚を伝えてくれることは本当に面白かった。なんでもそうだけど自分なりに「あぁ、こういうことか・・・」と納得するときだけ何かを学んだことなんだと思う。その密教の納得の仕方を空海を通じてひろさちやさんは書いてくれたのだ。

そしてこの密教的な方法。通常の何かに達する為の手順である「一所懸命勉強してあるいは色々な手順の先に何かに到達する」というよりは「まずそのものになってしまう」というこの方法。

これは別に密教でもなくてもある種の人にとってとてもハマる方法だと思う。

僕も29歳で絵を初めてその瞬間に絵描きになってしまった。特に意識的ではなかったけど。ただその瞬間から絵描きになってしまったんだと思う。そのあとに絵描きとして過ごしていたら色々な環境や状況が後からついてきた。

そういう生き方があるんだと思う。



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