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田舎の母との電話

久しぶりに秋田の田舎にいる母と電話で話をした。

妻や子供たちはコロナで会えないこともあり、時々連絡を取っているようだが、息子という生き物は不精なものなのだ(言い訳)。

もう75になろうとしているけど、毎日マニュアル車で田舎道を走り回り、好きな時に好きなように働き、友達とワイワイ遊び、元気にしているようだった。

息子たち三兄弟は各々別の場所で仕事と家庭を持ち、父も早くに病気で亡くなったため、長らく田舎に一人で住んでいる。

子供たちが少しでも心配そうにしたり、一緒に住もうなどと言うと、いつも笑って、母さんのことは心配するな。お前達は自分の好きなことをやれ。母さんのために田舎に戻ってくるなんて絶対考えるな。今から田舎を出たいなんても思わないし、何かあれば施設に入る。それが一番良い。と田舎の老親らしからぬ言葉でいつも息子達を外の世界に送り出してくれる。

孫の成長を近くで見たいだろうし、田舎なので息子が3人もいて誰も残らないのか!?とも沢山言われただろうに。

我が兄弟は兄二人は新卒後、いわゆる日本の大企業と言われる所に入り、今はそれなりのポジションにいる(らしい)。

三男坊の私は新卒後からずーっといわゆるベンチャー企業と言われるところで働き、今は小さい会社を経営して日本と中国を中心としたアジア圏を行ったり来たりしている。

田舎の母からすれば、何をやっているか分からないし、会社が潰れて妻や孫達が路頭に迷わないか心配で心配でしょうがないようだ。

長男次男は安心しているけど、三男坊(ワタクシ)だけは心配だ!アハハ!といつも言われる。

会社は順調なのか?健康なのか?無理していないか?ちゃんと生活できているのか?孫達に必要な教育を受けさせているのか?

沢山心配してくれている。

もちろん応援もしてくれていて、母さんは何もできないけど、応援してる。頑張れ。といつも言ってくれる。

思い返せば母との電話は、「心配だ」「無理するな」「頑張れ」、この三つが順繰り繰り出される構成で毎回成り立っている。

一見矛盾しているように見えるけど、どれも本心なんだと思う。

そして、いつも電話の最後は、毎回同じく「頑張れ」と送り出してくれる。

いつか、田舎の母が知ってくれるような会社にし、安心してくれるようになれば、一つの親孝行なのかもしれないなぁと電話をしながらボンヤリと思いを巡らす。

そんなことを考えながら電話をしていると、今回も最後は「まんつ、頑張れよ」と母は背中を押してくれて電話を切った。

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