犬を連れて川を下る
野田知佑さんに憧れる犬連れは、川に向かいたがる法則がある(多分)
私も例に漏れず川に向かった。
我が家に来たカヌー犬まりんを連れて。
カヌー犬たるもの
まりんが我が家に来てから3ヶ月経った。
『まりん』と呼べば反応する。
ちゃんとウチの子になりつつあった。
犬を飼ったら、私にはやりたい事があった。
犬を乗せてカヌーで川下りの旅をしたかった。
まりんは4歳だったが、川どころか散歩も上手に出来ない犬だった。元々繁殖犬で散歩はあまりした事が無かったのだろう。
初めは、全く歩かないまりんを無理矢理引っ張り歩かせようとしたが無理だった。そんなまりんも、3ヶ月も経てば少しだけ歩く様になっていた。
いつもの散歩コースは飽きてくると歩かなくなった。新しい道を行くと、嬉しそうに元気に歩いた。どこか行ったことのない場所に連れて行きたい。そう思いキャンプを計画した。
犬を連れてキャンプに行ける事は、私にとって大きな喜びだった。これまでファミリーキャンプを楽しんでいたが、犬がいるだけでワクワクの質が変わった。
カヌー犬たるもの、水遊びが好きでなければならない。水に慣れて欲しいので行き先は川と決まっていた。
人間のキャンプ道具は一通り揃っているが、犬のものは何も無かった。
とりあえず地面に直接寝転がると虫が心配だったので、amazonで犬用のコットを買った。我が家のカヌー犬たるもの、コットの一つや二つ持っていて良いのである。
時期は8月。日中はとても暑い。
ヒトは良いが、犬に暑さは大敵だ。
小さな扇風機と、発泡スチロールとファンで手作りした簡易クーラーを準備した。
我が家のカヌー犬たるもの、暑さ対策は万全でなければならない。
初の犬連れキャンプ
初の犬連れキャンプは、滋賀県の朽木にある川原のキャンプ場にした。我が家のカヌー犬にカヌーはまだ無理なので、水遊びをしに行った。
水を怖がるかと思っていたが、自分から川に入って行った。浅い場所で歩いて楽しんでいた。
日中はやはり暑かった。
扇風機とクーラーを駆使したが、どうにも暑かった。夏は犬連れキャンプには完全に不向きな季節だった。時々川に入って、ヒトも犬も体を冷やした。
夕方になるとかなり涼しくなった。
娘がまりんを抱っこして、川の中にある大きな石に座り涼んでいた。なんとも言えない幸せな光景だった。
そして夜は焚き火である。
夏の暑い夜に焚き火なんてバカかと思われるが、幸い夜は肌寒かった。
まりんは怖がる訳でもなく、コットの上でボーッとしていた。
ビールがいくらでも体に入って行った。
犬を連れて川を下る
9月になった。
初キャンプより前に、南紀串本リゾート大島の予約を取っていた。このキャンプ場を拠点に周辺で遊ぶ。
そして串本には古座川がある。ここではカヌーをレンタルして川を下る事ができる。キャンプは2泊3日の予定で、カヌーは2日目の朝に予約していた。
厳しい瀬もなく、初心者でも安心して楽しめるコースとのことだった。私は初心者なのでありがたかった。
我が家に来て4ヶ月で早くもカヌーデビューするまりん。この日の為に、モンベルのライフジャケットを用意していた。
季節によって下れるコースが違い、私達が行った時は、ゴールまで約8キロの明神橋がスタート地点だった。
カヌーは、ゴール地点近くの古座駅にある古座観光協会で借りた。駐車場があり車が停められる。
朝8時半に受付し、カヌーを3艇借りた。そこからスタート地点までは、カヌータクシーで行く事ができる。カヌーと人と犬を乗せて、タクシーは上流に向けて走って行った。
スタート地点でカヌーを下ろし、付いてきてくれたスタッフさんが操作方法を教えてくれた。
いよいよカヌーデビューの時がきた。
簡単な説明を受けてから、3艇は川に漕ぎ出した。
まりんは、ゴワゴワしたライフジャケットなるものを身につけられ、黄色のプラスチックの物体に乗り、飼い主と共に流れていった。
4ヶ月前は散歩の仕方も知らなかったまりんは、この瞬間、カヌー犬になった。本人には何の感慨も無かったと思われるが。
川下りはのんびりと
スタートしてしばらくは自然豊かなエリアを下った。水も綺麗で気持ちが上がる。
カヌー犬たるもの、一気に下ってしまわず途中の川原に寄り道しなければならない。
カッコいい旅人は、良い川原があれば、テントを張り、流木で焚き火し、釣った魚を焼きながらウイスキーを飲まなければならないが、今日はそれは出来ない。お弁当で我慢することにした。
釣竿は持ってこなかったが、魚が一度入ったら出られない罠は持ってきていた。カヌーに乗る為に竿ではなく罠を持ってくるパターンはなかなかレアではないだろうか。
お弁当を食べている間、練り餌を入れた罠を仕掛けておいた。テナガエビや魚が取れたらキャンプ場に持って帰って食べよう。
まりんはその間、川原をウロウロと冒険していた。
お弁当を食べ終わったので、罠を上げてみた。残念ながら獲物は入っていなかった。ポイントを見極める目が足りていなかった。
ご飯も食べたので、改めてカヌーで下り始めた。海が近づくにつれて、川幅が広くなり、道路や家が見える様になった。上流の方が楽しく感じた。
ゴール地点にはスタッフさんがいた。上陸しカヌーはそこで返した。
心地よく疲れた状態で、散歩しながら駐車場にむかった。借りていた人用のライフジャケットを返して、プチ川旅は終了した。
川旅を終えて
キャンプ場に戻り、海が一望できる貸切露天風呂で汗を流した。
まりんの隣に座り、焚き火で料理しながらビールを飲んだ。
夜になった。
サイトからは星空と、海に浮かぶ船の灯りが見えた。
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