貴方が死ぬまでにしたい10の事 《第二話》
気持ちのいい朝。土曜日。天候は晴れ。今日はずっと晴れるそうだ。
そして朝の6:00に目覚めてしまった。
「今日17:00まで暇だな~午前中だけでもバイト入れればよかった…」
母は今日も帰ってこなかった。
暫く残業が続くから会社で2日くらい過ごす、と連絡があったけど普通に心配だ。
なんだかんだ母がいなくても生きていけるのではないか、そう思う今日この頃。
「服買いに行こうかな…ん~でもなあ…」
ちょっとだけ家に出るのが面倒臭いだけ。
ピンポーン
「こんな朝早く…きっと透子だわ…」
インターホンのカメラ越しに映っているのは透子
ではなく一人の男。
「どちら様ですか。」
少し不機嫌そうに聞いてみた。
「え、あっ透子ちゃん…?あれ、えっとお母様ですか…!あのえっと」
どうも透子の家と私の家を間違えているみたいだ。
無理もない、ここは住宅街で同じような家が揃いに揃っているのだから。
「透子の家は反対側のこの家から見て斜め右ですよ。人の家に行く時は表札見るのをオススメします。じゃあ。」
我ながら凄い嫌な奴だと思った。私が彼の立場なら家に表札投げているところであろう。
「す、すみません…あ、ありがとうございました!」
良い奴だった。いや私が常識外れなのであろうか。
この人が透子の彼氏なのだろう。幸せそうな顔をしている、少し浮かれてそうな顔をしている。
「やだやだ、自分が報われないからって嫌味なんて言っちゃだめね…」
気づいたら家が焦げ臭い。
パンが焦げているのに気づいた私。最悪だ。
「…さっそくバチでも当たったかな」
少しばかり、とは冗談でも言えないくらい焦げているパンと牛乳を入れた方がいいのでは無いか、と思わせるくらいの大量の砂糖が入ったブラックコーヒーをテーブルに置き、いつも見ている情報番組を見る。
そして今日の予定を立てる。
「家にいてもつまんないし服買いにでかけるか~」
朝ごはんが終わるのは比較的早い方だった。
朝9:00から始まるショッピングモールに行こうと決意したはいいもの。
あまり1人で出掛けることが無かったため、行き方が分からない。というよりかは、覚えていない。
乗り換えや駅については透子頼りだった。
自分が情けない。まあ迷うだろう、それくらいの気持ちを持って行った方が案外迷わないのではないか。
家を出た。
やはり迷った。
「乗り換える電車どれだろう……………どれか乗ればすぐ着くのに……」
迷った挙句 なんとなく で赤い電車に乗った。
奇跡的に合っていた。
だが早く着きすぎた。迷う時間や待っている時間を考えて少し早めに家を出たのが仇になったのだ。
「30分も待つのか…」
朝イチセールを狙っている人に紛れてただ服を買いたいだけなのに、とため息を着く。
そうやって私の運命の1日は始まったのだ。
つづく
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