ワインを楽しむ国とその楽しみ方
多くの国で飲まれているワイン! 海外ではどんな楽しみ方をしているの?
国内最大手ワインメーカー、メルシャンの発表資料によると、日本国内でのワイン消費数量は平成のあいだで3倍以上になり、ゆるやかに着実に成長してきました。ワインはすでにブームを通り越し、わたしたちの日常に定着しつつあるようです。
さらにワインを楽しむ場所は、レストラン、居酒屋、バー、自宅など実にさまざま。ワインを楽しむシーンは「食事と合わせて」が76.0%とダントツの1位!* また、「ひとりでじっくりと」飲むという回答も26.5%ありました! 皆さん、いろいろな場面でワインを飲んでいるんですね。
では、日本以外の国の人たちはどんなふうにワインを飲んでいるのか気になりませんか?
ワインの伝統国であるヨーロッパ、また新興国であるヨーロッパ以外の国でのワインの楽しみ方など。 加えて今のワインのトレンドをちょっぴりご紹介していきます!
* ワインバザール調べ
http://wine-bzr.com/topic/
食卓には必ずワインが並ぶヨーロッパの国々
まずはワイン伝統国であるヨーロッパの人たちはというと、家庭により若干の差はあるものの、朝食以外の食事ではかなりの確率でワインを飲んでいます。
特に、フランス、イタリア、スペインなどのワインの生産が盛んな国々はその傾向が顕著です(ドイツもワインを生産していますが、ビールのほうが圧倒的に消費されています)。 自宅以外でも平日のお昼休憩にランチワインをたしなむなんて光景もめずらしいことではありません。
ヨーロッパに海外旅行に行かれたことのある方のなかには、食事が「濃い、塩辛い」と感じたことはありませんか? 実はこれ、ワインとともに食事をすることを前提にした味付けなんです。
日本でもお酒のおつまみといえば塩気が効いていたりすることが多いですよね。 食事はワインと合わせて本領を発揮する…… それがワイン伝統国に長く根付いた文化なのです。
ワインの話をするとき、伝統国以外の国のことを、ワイン新興国、ニューワールドなどと呼ぶことが多いです。
ワイン市場のリサーチを専門とするアメリカの会社Wine Opinionsが行った調査によると、アメリカでは家でワインを飲む人の約6割が、ワインだけを飲んでいることがわかりました。
自宅以外では基本的に食事のあと飲みに行くか、飲みながら食事をするというスタイルだそうですが、食事をしながら飲んでいる人も、食べ終わると飲みかけの飲み物を持ってバーカウンターへ移動することも多いのだとか。
アメリカでは飲むなら飲む、食べるなら食べるとわかれているようで、食事とともにワインがある伝統国との違いがはっきりしていますね!
アメリカと同じく、ワイン新興国でワインの生産が盛んなオーストラリアでは、独自の文化BYOでワインを楽しんでいる人たちが多いようです。
BYOとは「Bring Your Own」の略語で、直訳すると「持参」という意味ですが、看板に「BYO」と書かれている飲食店に自分の好きなワインを持ち込むことができるシステムのこと。 気軽にお気に入りの1本をレストランで楽しむにはこんなシステムもうれしいですよね。
ワインの消費量、やはりヨーロッパが多い!
一人当たりの年間ワイン消費量が多いのはヨーロッパ諸国が圧倒的です。 下のイラストに載っている国以外にも、クロアチアやスロベニア、ハンガリーなど、たとえ小国であっても一人当たりの消費量は大国であるアメリカやカナダよりもかなり多い結果となっています。
ちなみにですが、国別の消費量はアメリカがダントツ! 中国も5位に入っていますが、一人当たりの消費量では日本のほうが多く消費しています。 意外にもアジアのなかでは、日本人はワインを飲んでいるほうなんですね!
O.I.V.調べ。本数はフルボトル(750ml)換算。
今世界が求めているのはエレガントなワイン!
近年のワイン界のトレンドはなんといっても「エレガントなワイン」。
ワインのエレガントさとは、アルコール度数が抑えられ、いきいきとした酸を持つワインのことを指します。
ひと昔前のトレンドは力強く重厚な味わいのものでしたが、今は甘味・酸味・苦味・旨味などのバランスがとれたワインが求められているということなんですね。
では、エレガントなワインが生み出されるのはどんな場所だと思いますか? それは「冷涼産地」です。主に標高が高い場所や、冷たい海風の影響を受ける沿岸部などが冷涼産地とされています。
この冷涼産地で造り出されるワインを「クールクライメイト」いい、ワインのプロや愛好家のなかで最近の注目ワードとして取り上げられることもしばしば。
実は地球温暖化により、ワイン生産地の地図が変化しようとしているので、生産者たちがより冷涼な気候をもつ地域にブドウ畑を求める動きがあるのです。 新たな生産地として、アメリカのニューヨーク州やイギリス、カナダなどが脚光を浴び、ブドウ品種ではドイツのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)などが注目されています。
ワインはやっぱり魅力的な飲みもの
海外でのワインの楽しみ方、消費量、最近のトレンドなどを少しばかりご紹介いたしました。
国よって違いはあるけれど、さまざまなシーンをともに過ごす…… ワインってやっぱり素敵な飲みものですよね。
また、エレガントなワインが増えてくるということは、より食事に合わせやすかったり、口当たりがよく飲みやすかったりもするので、ワインが渋くて苦手と思っている人や、これからワインを飲んでみようかなと思っている人たちにも入りやすかったりするのではないでしょうか。 ぜひエレガントなワインで素敵な夜をお過ごしください!