放課後、魔法少女V
第7話
「水着を買いに行こう」
私、マキ。普段は普通の小学生なんだけど、実は魔法少女やってます!元気でちょっとやんちゃなほづみ、クールで大人ぽいウメコさん。私と同じ魔法少女で、大切な仲間です。今日は、ほづみに呼ばれてたんだけど一体何が起きるのかな?
「次、右に曲がって、真っ直ぐ行ったら着くからもうちょっと待っててくれよな!」
「うん、それはわかったけど。その、これどういうこと?」
私とウメコさんは今、人生初のなんか黒くて長い車に乗っています。というか、待ち合わせ場所に着いたらいきなり黒い服の人たちに囲まれて、車に入れられました。正直、ほづみがいなかったら完全に犯罪だよね?未遂にはなるかもしれない、たぶん。ウメコさんは、こんな時でも落ち着いていたのでちょっと心配になりました。いや、もしかしたらウメコさんは慣れっこなのかもしれない。
しばらく、車に揺られていると突然車が停止した。どうやら、目的地に着いたらしい。窓から外を見たいが、窓ガラスが黒くてよく見えない。マジックミラーではなくて、中からも外からも見えないやつらしい。いろんな意味で、私はもう乗りたくない。恐すぎる。執事さんが、ドアを開けるとそこは、水着ショップの駐車場だった。比較的リーズナブルな水着が売っているお店だ。
「ジャジャーン!今日は、夏に向けて水着を買いに来たんだぜ!!」
「うん、それはわかったけどなんで?」
「それはだな、この夏は俺の別荘にみんなで行くからだ!!」
「えーっ!!」
「まぁ、今考えたんだけど。とにかく、水着を買うからな!いいな!!」
「いい水着、あるかしら」
二人は、私を置いてどんどん店へ向かって行く。そういえば、他に全然車が見当たらないのはなぜだろう?
その答えは、すぐに見つかった。【本日、完全貸し切り】お店の店員すら、誰もいなかった。
「よーし!各自自由に見て回って、30分後に水着着て集合な!!」
「人気がないお店なのかしら?こんなにたくさん種類があるのに。まぁ、いいわ気にせず選べるもの」
ウメコさんは、気づいていない様子で楽しそうに水着を見に行った。ウメコさん的にはこのほうが、いいのかもしれない。ウメコさんが、水着着てたらすごい騒ぎ起きそうだしなー。ただ、私は気になるので一応聞いておく。
「ほづみ、ここ貸しきったの?」
「うん、その方がゆっくり見れるしな。それに、ここうちのグループの店だし。細かいことは気にするな!」
「うん、まぁ、ありがとう・・・」
改めて、ほづみの家のすごさを知った。一体どこまで自分のグループなのだろう。もしかしたら、地球の半分は支配出来ているのかもしれない。・・・恐くなってきたし、水着選んでこよ。
ーーーー30分後。各種水着に着替えて、集まった。なぜか、黒服の人にラップタオルを渡されたので、ほづみもウメコさんも着替えているのだろうけどどんな水着なのかはわからない。
「じゃあ、一人ずつ見せていくとするか!」
「えっ、なんかファッション対決、みたいなことやる感じなの?」
「言ってなかったか?対決じゃないけど、ちょっと二人のファッションセンス見てみたい、みたいな?感じだ!」
「おもしろそうだし、いいんじゃない?私は、大丈夫よ」
そりゃ、ウメコさんは、スーパークールでハイパービューティーだから問題ないとは思うけど。
「だから、対決じゃないから気にするなって!マキから見せてくれよ、どうせいつかは見るんだからさ」
「まぁ、それもそうか。でも、普通とか言ったり、ウメコさんと比べたりとかしないでよ!これでも一応ちゃんと選んだんだし」
「大丈夫よ、マキは何を着てもかわいいわ」
「うんうん」
見る前に言われるのも、なんかムカつくな。私は、複雑な気持ちになりながら、ラップタオルを脱いだ。
「マキらしくて、いいんじゃないかしら?」
「肌は出さないのか?」
私が選んだのは、花柄のワンピースタイプの水着。ワンピースタイプ、あんまり人気ないのかこれくらいしか、かわいいのなかったんだよね。
「まぁ、でもそうね。マキなら、オフショルの水着のほうが映えると思うわ」
「で、でもオフショルの水着って分かれてるの多いし。お腹は、ちょっと・・・」
「マキ、ほづみにも言っておくわ!水着はね、海はね、肌を魅せる場所なの。だから、」
ウメコさんが、珍しく熱い勢いで語り自分のラップタオルを脱いだ。
「ひ、ひゃ~」「だ、大丈夫なのか。それは!?」
ウメコさんの水着は、黒のカットアウト水着だった。いろいろと攻めているし、肌もかなり出ているのだけどなぜかとてもクールで、かっこよく上品な雰囲気にまとまっていた。でもやっぱり、胸は私の倍あるし私の胸はまな板にしか見えない。羨ましい。
「魅せているほうが、健全かつカッコいいのよ」
まさに、その通りだった。後で、ウメコさんに私に似合うやつ選んで貰おうっと。
「さぁ、次はほづみの番よ。魅せて頂戴?」
「えー、あのー・・・」
やはり、ほづみは怖じ気づいてしまったらしい。なんだか、ラップタオルを取るのを嫌がっている。だから言わんこっちゃない。まぁ、先にウメコさんが脱いだのは想定外だったかもしれないが。
「あー、もー、どーにでもなれー!!」
覚悟を決めたらしく、叫びながらほづみはラップタオルを脱いだ。
「「えっ?」」
ほづみが着ていたのは、ラッシュガードだった。完全に肌を隠しているし、なんというかガチで泳ぐ感じの。
「いや、その。ガチで泳ぐことしか考えてなくて。水着ってだいたいそう言うものだし・・・」
「執事さん、ほづみは海初めてなのかしら?」
「えぇ、いつもは山の別荘に行かれてますので」
「ほづみ・・・」
「二人とも、私が選んだ水着を着て頂戴ね」
「「はい」」
ウメコさんのファッション魂に火を着けてしまったので、この後2時間かけて水着を選ぶはめになってしまった。おかげで、いい水着に会えることは出来たのだけど、とてつもなく疲れた。
「必ず、みんなで海行きましょうね」
「「はい」」
ウメコさんのあんな楽しそうな笑顔を見たら、なにがなんでも今年の夏は海に行けそうだ。そんな気がしていた。この時は。
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