芳岡なつき

BL好きのオタク/文字書き/編集者 仕事関係、オタ活についてなど。お仕事の依頼はXのDMもしくは以下より→https://crowdworks.jp/public/employees/5927278?ref=share_url_wkprofile

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インサイトを発見されてしまった私たち―『同人女の感情』に寄せて―

 マーケティングに関する分野を学んでいると必ず「顧客のインサイトを発見しよう」という言葉を見かけます。  インサイトとは、簡単に言えば「顕在化されていない欲求」のことです。  有名な例だと、ライオンの『ナノックス』は、それまで洗濯洗剤で使われていた一般的な訴求ポイント「汚れを落とし白くする」から、「ニオイまで落とす」に転換したことでヒットしました。  ユーザーは汚れの判断基準は、「目で見た白さ」ではなく「ニオイ」だった――というインサイトに気が付いた一例です。  このインサイ

    • 父の仕事人生を初めて聞いてみた話

       私はこの春キャリアコンサルタントの資格を取った。それは自分自身のやりたいことがあったからなのだが、それについては、この段階では省略する。  受験のために学ぶなかで印象的だったのは、シニアのキャリアの悩みだ。たとえば定年が見えてきた中で役職定年となり、モチベーションが低下する。このままいっそ早期退職を選ぶべきか……しかし早期退職をしてまでやりたいことがない。今の仕事に限界が見えてきた一方で、人生が80どころか100歳まで続くとなったときに、この先の展望が見えない。  キャリア

      • 【レポ】緑陽社工場見学会に行ってきた!

        2024年4月6日、同人誌オンライン入稿サービス「するる」さま企画の、緑陽社さま工場見学会に参加してきました! 緑陽社といえば、独創性・デザイン性に優れた装丁の賞「本フェチ大賞」を主催するなど、こだわりの装丁を実現してくれる、同人誌をつくる人々にとって憧れの印刷所。近年では、あの羽海野チカ先生のFGO・オベロン本『黄昏の王国』を作ったことでも有名です。 私たちの愛する同人誌がどのようにつくられているか、同人誌装丁記録サイトの管理人としても参加しないわけにはいきません! と

        • 同じ花を見上げる

          数年前に書いたオリジナル小説です。地球に暮らす女性が、異星人の男性と心や体を通わせようとする話。 ―――――― 同じ花を見上げる 「安心して。私に任せれば大丈夫だから」  私が腰掛けるソファの下。床に膝を着いたまま座り込んだ男を見下ろす。自らの膝の上をじっと見つめていたらしい男が、静かに視線を上げた。私の言葉の意味を測りかねるように、その瞳は茫洋として何も映さない。これまでこの部屋に上げたことのある男たちだったら、愚鈍とも思えるこの反応を私は許せなかっただろう。  だけ

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          頭脳派キャラを書くための2つのポイントを頭脳派ではない一般人が考察してみた

          以前、こういうツイートをしたところ少しバズりました。 こんにちは、生涯の推しキャラは、ヤン・ウェンリー(銀河英雄伝説)と中禅寺秋彦(百鬼夜行シリーズ)のオタクです。『鵼の碑』出ますね!!!!! さて、私は彼らのことがとても好きなのですが、このツイートのように、二次創作をするとしたらとても苦労すると思います(実際ほとんどしたことがない)。勿論二次創作ですから、原作を再現するかのような壮大な物語を描くわけではありません。原作の隙間と隙間のちょっとした物語が見たい、妄想を膨らませ

          頭脳派キャラを書くための2つのポイントを頭脳派ではない一般人が考察してみた

          地縛霊の如きオタクは、もうすぐ成仏できるかもしれない(きむすば劇場が心底楽しみという話)

          2020年頃から続く感染症は、今春からまるで解決したかのように、人々の生活や意識から薄れていっている。しかし無くなったわけではないのは承知の通り、そしてこの数年の混乱がオタク(一人称です)の心に残した苦みも、未だ新鮮さを失っていない。 いくつかの苦しみがあったが、そのうちの一つの渦中に、私は以下の記事を書いた。 今ではすっかりとうの立ったオタクである私が義務教育時代から応援していたアーティスト、小林賢太郎氏の引退に寄せた記事である。いま読んでも、ファン全盛期の“あの時期”

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          ChatGPTは同人作家の相棒になりうるか

          ChatGPTが2022年11月に発表されて以降、その活用方法や活用の可否といった話題を様々な場面で見掛けるようになりました。私は普段、WEBメディア運営やコンテンツマーケティングに少し携わっているため、メールマガジンやセミナーのタイトル、リード文作成の際に利用したりしています。 その過程で考えました、「これって同人活動にも使えるのでは?」 AIと創作の関係については、特にイラスト方面では多くの問題もある一方、Twitter上ではチャットAIとの面白やり取りが頻繁に流れてき

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          同人誌装丁記録サイト「Smarks」をつくりました

          こんにちは、芳岡なつき(ヨシオカ)と申します。都内でメディア編集&ライター・WEBマーケといった仕事をしている会社員です。 2022年5月に自分の作った同人誌の装丁が記録できるサイトをリリースしました。 始動から約2カ月が経ってしまいましたが、あらためてサービス内容の紹介と、開設に至るまでの思い、今後についてを記事にしました。 Smarksってどんなサイト? みんなでつくる同人誌装丁記録サイト「Smarks」 Smarksは、自分の作った同人誌の装丁を記録できるサイトです

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          推しジャンルを株で応援したかったオタクがFP3級を受けた話

          2022年5月のファイナンシャルプランナー3級の試験を受けました。 まだ正式な結果は出ていませんが、既に公開されている模範解答を見る限り、マークシートをミスしていなければ合格している模様。 元々は浪費癖の激しいオタクで、常に月給を上回る支出をするわ、貯金はほぼないわ、自分の金銭管理のことも、保険のことも、ライフプランもあまり考えていないタイプでした。 お金のことを考えるようになったのはここ1~2年程。 三十歳を過ぎ、今後一人で生きていく可能性を考えたときに必要な知識を身に付

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          子宮頸がん検診精密検査(組織生検)が痛くなかった人間のレポ

          年始に受診した年一回の健康診断で、「要精密検査」という結果が出ました。内容は、「子宮細胞診にて細胞異型(ClassⅢa)を認めます」というもの。 年始の厄払い後早々に厄年の波動を感じつつ、精密検査に対応している近所の婦人科を即予約。説明を聞きに行きました。 この結果が出てから精密検査当日までの間に調べて怯えていたのは、 どうやら子宮頸がんの精密検査「コルポスコープ・子宮頚部組織生検」いわゆる「子宮頸がん組織診」は痛いらしい、ということ。 (ClassⅢaについては、多くの方

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          【合宿レポ】原稿戦士たちよ、原稿合宿に行こう(千葉・土善旅館)

           感染状況に落ち着きが見えてきたので、この隙にと原稿合宿に行ってきました。今回はそのレポです。  結論から言うと、私は同人活動をする文字書きなのですが、1泊2日の原稿合宿で約15,000字進みました。字数だけでいえば、休日に引きこもり集中していれば可能な数字かもしれません。  ただ、皆で美味しいご飯を食べ、上映会をし、温かい風呂に入って眠るという楽しいひと時を過ごしながらの原稿タイムは、普段と別格の楽しさです。原稿をしているときの、「これ面白いんか……辛い……」みたいな原稿病

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          ピクスクでWEBオンリーを主催する時に押さえたい3つのこと

           リアルイベントの開催が満足にできない中、WEBオンリーという形態が広まっています。  特に女性向け同人界隈ではpictSQUAREさんのサービスが一般的に定着している様子。開催時間も長時間の設定が可能で、いつでもどこからでも参加しやすい上に、主催をする場合もリアイベに比べて時間的・金銭的コストも掛かりません。  様々なハードルの低さが魅力である一方、裏を返せば、「箱を用意しただけ」でも開催が出来てしまうという面もあります。でも、それではあまりにもったいない! 主催をされる方

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          【NODA・MAP/フェイクスピア】虚構と現実が手を取り合うために

          ※核となる部分のネタバレはありませんが、予備知識ゼロで観たい方には推奨しません。 ―― 「ノンフィクションには勝てない」 これは、フィクションを生み出すことを仕事にしている私の知人が時折口にする言葉です。その人はNHK等で放送されるドキュメンタリーや、ノンフィクション映画を観ては、そこにある本当の人の言葉や感情に動かされている様子でした。 現在、東京芸術劇場で上演中の高橋一生さん主演、NODA・MAP『フェイクスピア』 本作を観劇している最中、私はこの知人の言葉を思い

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          小説同人に誤字を無くすことが難しい理由を編集者が考えてみた

          「同人誌に誤字脱字、誤表現があるのはいかがなものか」  同人界隈にいると定期的に目にする話題です。  こうした内容のマシュマロが書き手の方に届き、それを火種として「指摘してくれるのはありがたい」「いやいや個人の趣味なのだから」と議論が紛糾していくわけですが。  今回は、指摘することの是非や、同人における頒布者と買い手の関係についてではなく、もっと単純に、根本的に、「誤字脱字無くすの相当難しいのでは!?」という話を編集者になって身に染みた実感と共に、対処法まで考えてみたいと思

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          地獄で踊れ【BL小説】

          「第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞BL部門」に投稿させていただきました。 ――――――――――――――――――――――  俺の相方は、地獄で踊る天才だった。 「う、ぁああ~~……」  情けない声をあげ、へなへなと机に突っ伏したその姿は見飽きた光景だ。俺は無駄だとわかりながら大仰な溜息を吐いて「こら、翔。SNS禁止」と叱る。背後に周りPC画面を覗くと、案の定、俺がスマホからアプリを消させたSNSが表示されていた。 「なに、また葦屋サンにフォロワー数抜かれたの?」

          地獄で踊れ【BL小説】

          「月に行きたい」未満の夢で生き永らえる話―小林賢太郎さん引退に寄せて―

           生き永らえさせてくれる、遠いけれど具体的な夢がある。  「2千兆円欲しい!」はおまじないだけれど、「昇進すると月収が5万上がるうえに手当がつくらしい」「そしたら毎朝スタバを気にせず買えるかもしれない」は遠いけれど具体的な夢だ。  「月に行きたい」は生きているうちには叶わないかもしれないけれど、子どもの頃に訪れたあの旅館にもう一度行くことや、あのころ雑誌のなかで見た外国の街のマーケットで買い物をすることは、叶えられるかもしれないこと。  それらよりもずっと、自分の力ではど

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