「薄氷*流れて水の匂いして」
2023年2月23日
カナダde着物
第44話
*着物で稽古始め*
薄氷(うすらい)は、春が近づき始めたころに張る薄い氷です。
メトロバンクーバーの2月は、毎朝の気温が気になります。
「もう春がくるかしら?いやいや、まだ油断はできないわね~。」と、お寺の仲間たちは鼠空を見あげながら館内に入って来られます。
それでも、時に顔を出す明るい光と、芽吹き始めた草花は、春が近いことを告げているようです。
2月19日の雨水の頃に雛人形を飾ると縁起がいいそうで、お雛様のお顔を見ていたら、ほっこりできそうですね。
*今日の着物*Today’s Kimono
「稽古始めに手を通したい着物」
1月は何かと予定が入る日々ですが、2月に入りますとようやく落ち着いてきます。その頃に稽古事が始まりますと、気持ち新たに着物と向き合える気がします。
今年初の茶道の稽古1日目は、母から譲り受けた、ちりめん生地の訪問着と百人一首の袋帯を選びました。紫黒(しこく)色の着物は、冠婚葬祭のイメージがありますが、最近の流行もあり、かなり普通に着ていくことができるようになりました。白い着物も同じです。
百人一首をあしらった西陣織の袋帯は、全通柄(*1)という帯全体に柄が施してあり、贅沢な品です。帯を締める時に柄が外から見えなくなる箇所がありますが、そこにも柄があります。サイズを問わず巻くことができ、お太鼓以外の結び方も可能です。
代々、受け継がれることを考えますと、大変、利用価値のある帯だと思います。
*今日の和の学校*Today’s Gathering
「地下道場に響く声*フィルム向け/殺陣教室」
和の学校@東漸寺で、昨年の9月から始まりました、フィルム撮影向けの殺陣教室は、大変ご好評で、老若男女の皆さまが地下道場に集まりお稽古をしております。
元々、撮影の仕事でご一緒でした、日本とカナダで活躍されている俳優さんお二人から声をかけていただきまして、お寺と殺陣という異例なコラボレーションが実現しました。
道着の袴を身につけると、生徒さん達の顔は演者になり、凛々しい剣士にもなります。
衣裳とは常々、不思議なものだと感じます。
人は身につけるもので、何者にも変身できるようです。俳優さんたちだけでなく、私たちも日頃から色々な役目を演じているのでしょうね。
皆さまのご活躍を応援しております!
引用
宅配着物レンタルの「きものレンタリエ」きもの豆知識
https://kimono-rentalier.jp/column/kimono/zentsuugaratoha/
全通柄(*1)ぜんつうがら
全通柄は、帯の全面に柄があるため、帯を締めた際に太鼓から胴の脇部分、さらには垂れの部分まで全て柄が見えるようになっています。そのため、無地の部分を気にせず多種多様な帯結びを行うことができるため、スリムな人も、ふくよかな人も体型に関係なく締めることができ、融通の利く帯とされています。
一方で全通柄は、帯全体に柄が織られるため、他のものよりも重みがあり生産コストもかかってしまうため、高価な帯とされています。
参照
日本の行事・暦:
コナともこ
「着物語り」
日加トゥデイでもご覧いただけます。
着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから。
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
12年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘+老犬1匹(昨年末、虹の向こうへ)がおり、バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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