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「この遺言書を本人が作成できたとは思えない・・・③」


遺言者の能力の観点から遺言の有効性のお話をしてきました。
今回は、遺言の有効性を担保するためにできることについて、一例をお話をします。

遺言作成前後で診断書を取得する

ご高齢の方が遺言書を作成していた場合、遺言者本人の能力について争いになる場合があることはお話しました。

このようなトラブルを防ぐため、診断書を取っておくことが考えられます。具体的には認知症の有無、検査結果、認知症にり患している場合にはその程度などを記載した診断書を作成してもらうことが考えられます。

法定後見制度を利用するために家庭裁判所に提出する診断書には、上記のような項目があります。こちらを利用することも有効です。
(テンプレートなどは下記をご参照ください)

遺言を作成した理由を残しておく

「こんな内容の遺言を残すはずがない!」ということでトラブルになってしまうケースに備えて、遺言とは別に「遺言を作成するに至った理由」を残しておくことが考えられます。

どうして遺言を作成しようと思ったのか、どうしてこの内容にしたかという理由について残しておくことで、相続人の方の理解も得られやすいかと思います。
これは形式は自由なので、動画などで残しておくことも可能です。
また遺言自体に「付言事項」という形で残しておくことも可能です。

公正証書遺言を作成する

公正証書遺言は、公証人が遺言者から希望する遺言の内容を確認し、遺言者の面前で遺言を読み上げて遺言内容を確認します。

また証人2名もその遺言内容を確認すると共に、事実上、遺言者がどのような反応をしているかも見ることになります(証人になることができる人は下記のとおり制限されますので、中立であることが担保されます)。

民法
(証人及び立会人の欠格事由)

第九百七十四条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
 未成年者
 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

このように中立な複数人の立会いの下で遺言が作成されますので、遺言の有効性も担保されるということができます。
もっとも公正証書遺言だから絶対に有効ということでもありません。そのため、上記の手段を併用しておくこともお勧めです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

遺言を作成することで相続トラブルの発生を防ぐことが可能ですが、その遺言の作成経緯に疑義が生じてしまうと、トラブルになることもあります。
せっかく遺言を作ったのにトラブルになってしまった、ということを防ぐためにも、遺言作成をする時には弁護士にご相談をいただき、一緒に検討することをお勧めします。

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