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咳に悩む方への漢方的アプローチ

〜漢方指導士が「咳くらいで休めない方」に送る〜


まだまだ暑いと諦めてたら次の日には秋すら通り越して急に極寒。Tシャツからダウンまで用意しなきゃの今年の秋です。

夏は暑すぎてハアハアし過ぎの喉カゼが流行ってましたが、毎日めまぐるしく変わる気温に体がついていかずヘバってるところにウイルス侵入で、またもや喉&咳カゼが流行っているようですね。これから冬になるからもっとウイルス感染流行りますね。

漢方では風邪は「カゼ」と書きます。一般に知られている風邪は「ふうじゃ」と読みまして、読んで字の如く風が邪気(悪いもの)を運んでくる、という意味です。カゼは日本独特の言い回しで漢字の「風邪」は漢方の「ふうじゃ」に当てはめたようです。

風は空気なのでさまざまものを運んできます。息をしている限り避けることはできません。花粉・粉塵・暑さ・寒さそして今確認されている400種以上のウイルスも空気中に漂っています。誰もがかかる可能性があるカゼのほとんどは鼻と喉から体内に入ります。そしてウイルスや菌の種類、入るところによって悪さをする箇所が違いますが、そうして初めて「〇〇カゼ」と診断されます。あなたのカゼはどんな風邪?♪なんてCMもありますね。

実をいえば、咳自体は体に入ってきた異物を除去しようと体が反応してる証拠なのでそんなに悪いことではありません。特に朝の咳や痰は肺に溜まっている毒を出すという正しい反応なので出してしまった方がいいです。ちなみに朝サウナに入るのも毒出しするという意味では正解です。高血圧の方や飲み過ぎの翌日は気をつけないと頭の血管ブチ切れたりもしますけど。たまに飲み過ぎた翌朝にシャワー浴びて鼻血を出す方もいますので、急に血を巡らせるのはほどほどにしてください。まあ月に1回程度、体調の良い朝がいいですね。

ところで、今日なんか喉が痛いようないがらっぽいような感じがする、頭が重い、熱っぽい、体がしんどい、鼻がズルズル〜と、さまざまな症状が現れてー。それらがひと通り過ぎてもうすぐ治りそうとか思ったら急に咳だけぶり返す。または熱も咳もひどくて、熱はなんとか下がったけど咳がどうしても取れない、なんてことありませんか? それはすでに体がカゼとの激しい戦いに疲れて力がなく、やはり結局はウイルスに負けてしまったということで、それは「咳カゼ」の1種ですよね。

喉が痛い🥲

喉が痛くて高熱があるなら溶連菌や重度の扁桃炎とかも考えられますが、熱がなくて単に喉の入り口辺りにウイルスや菌がくっついてしまった場合、うん?喉が痛いかも?くらいで止まっているならばおばあちゃんの知恵だったり、気合い!とか言って治るときもありますが、素直に漢方薬を使えばすぐに治ってしまいます。そういう時は桔梗湯。前日に何回か使えば次の日にはほぼすっきりしてしまいます。この薬を溶かしてうがいするのもとても有効です。最近は漢方メーカーが監修してるのど飴も出てます。食品扱いだからってこんなに安くていいの?と思ってますけど。
また、甘草湯が効く方もいます。やや熱っぽくて声が枯れてる感じの人にもいいですね。強烈なドリンク剤もあります。
これで症状が進まず、治ってしまえばホッと安心です。

喉も痛いけど咳が出てきた😣

ウイルスや菌が喉の奥まで入り炎症をおこせば咽頭炎、通り越して肺までの通り道、気管支に入ったら気管支炎です。そろそろ体が本格的な戦闘モードなので痰も出てきます。さらにもっと奥、肺にまで入っていたら、それは肺炎かもしれないし、喘息ということもありますね。これは肺の気道に炎症が起きている状態です。夜もう寝るよ〜って時に咳き込むことが多いので安眠ができません。大変辛いですよね。

咳の急性期(発作がおきて咳き込んでいる状態)で激しく咳き込む人は、漢方薬だけ使うより抗生剤を使った方が治りが早いです。でも、咳くと体が疲れてしまう咳カゼは体力勝負。そのため体力を補いながら咳に強い漢方薬を使うとよりカゼと戦う力が出るし、治りも早くなります。今風で言えばハイブリッド処方とでもいいますか、薬の戦う場所が違うので相乗効果を狙えます。

コロナに罹患した方が熱の症状が収まったあと咳だけ残る方が結構多かったんですが、たいてい漢方薬を処方されてました。長い咳に飲んで効く西洋薬はないと言えます。治すのではなくてその場の症状を一時的に止めるために使われるのが本来の使い方なので、あとは止めてる間に自分の免疫力で治してね、ということ。さすがにコロナ時はお医者さまも最初は致し方なく漢方薬を使われたようですが、思ったより効いたのでその後は安心して処方できるようになったという感じです。でも、その漢方薬を咳が出始めた時に使い始めたか、しばらく経ってから飲むようになったのかで薬も違うし治る日数も全く変わってきます。

咳は早めに対処すればすぐに治っていくものですが、3日以上長引かせるとだんだん治りにくくなります。様子を見過ぎて、悪くすると百日咳のように長くつきあうことになる人も多いです。あまり咳が続くと肋骨が折れる方もいます。それくらい咳のダメージは体に負担です。だいたい口を開く状態が増えるから他の病気を拾う羽目になることもありますね。なるべく早めに漢方いただいてください。併用して全然構わないものですから、気軽にお試しで飲んでみたらいいのです。お医者さんでも漢方薬局でも、自分で買って試してみるのも有りですよ。
咳が出て5日以上経ってしまいましたか? それはもう慢性化してますね。そこからは西洋薬の領域ではありません。併用でもいいから漢方薬を飲みましょう。 

咳の場合、漢方では痰が出るか出ないかが重視されます。
次に痰の色を気にします。白いか、黄色〜緑色か、血が混じっているかも大事なところ。
黄色はまさにウイルスや細菌と戦った残骸の色なのでまだ炎症がある状態ですね。白い痰が出るのは外部のほこり等の刺激に反応していることもあれば気管支炎や感染症の喘息の状態だったりもします。痰が出ないで咳だけ出る方もいます。これらは残念ながらたいていの方が長引かせてます。

咳くらいで(みんなそう思ってるでしょ?)そんなに仕事も学校も休むわけにはいかないですよね。
今どうしても休めない! そんな頑張ってるみなさんに、お薦めできる代表的な漢方薬をご紹介しますね。

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