「魔境」ふくたらうの話 その2
あなたのDTMはどこから? 私は Logic Pro X から。
ふくたらうの話。その2です。
その1をご覧になっていない貴方と貴女とアナタはこちらへ。
この記事では、
・僕の通っていた専門学校ってどういうところ?
・ぶっちゃけ専門で音楽を勉強するのはあり?
・ぶっちゃけ就職できるの?
というところを僕の体験談を通してぶっちゃけていきます。
多分ちょっと長くなりますので、目次をみて面倒くさそうだったら最後まで見てください。
ん?
これまでのお話
小中でアニメとゲームにハマり、高校の時に現実を見て、浪人中に夢を見ました。そして専門学校へ行くことになります。
え、おわり? うっっっすいなぁ。。
.......ほんとにおわり??(おわりです
ワクワクの専門学校
やってまいりました。
ワクワクのふくたらうです。
地元を飛び出して(とはいえ電車で30分の)某都会までやってきたわけで、出会う人たち全員が知らない人というのも新鮮。なにより座学がないというだけで、僕にとっては天国でした。
まずは入学式とかあるんですが、大学でも同じだろうと思うので割愛。
とてもつまらない式典です。(こら
登校初日。
僕が入ったのは昼間4年制のサウンド学科(仮名)。
最近は増えてきましたが、当時はまだ4年制を導入している専門学校は少なかったです。大学相当の資格がもらえるので、他の専門学校よりはアピールになります。
学科によるけど、サウンド学科は人数が少ないのもあり1クラスだけ。これから4年間全く同じメンツで学んでいくことになるわけです。
つまり、みんなと仲良くしとかないと肩身が狭い。人によっては地獄のような空間かもしれません。
僕はウェルカムでした。毎年人が変わるの面倒くさいじゃないですか(注:ふくたらうは超絶面倒くさがり)
さすがに最初の1週間はしゃべることも少なかった。見ず知らずの人にいきなり気安く話しかけるのは相当なコミュ力ないとね。。涙
1か月くらい経って、ようやくクラスメイトの色々なことが分かってきた。
・当然だけど同じサウンド学科だから話がめちゃくちゃ合う。
・陽キャは少ない。
・みんなアニメとゲームも好き。あとパチンコ好きもちらほらいる。
・8割がDTM初心者で制作用のPCを持っていない。
・7割は音楽理論(音階やコードといった基本的なところ)の知識皆無。
意外なことに初心者が大半だった。
かくいう僕もDTM?なにそれ?MIDI?食べられるの?というレベル。
音楽の知識はあってもPCで作曲するなんていうことは未知の世界だった。
高校生で作曲している人なんて、世の中で見ればほんの一握りとういうこと。つまり、Twitterのみなさんが専門学校に入れば、少なくても1年くらいは強者の部類に入れます。ガッチです。
専門学校の学習環境
授業内容はいたって素直というか、まずはDAWの基礎知識と音楽の知識全般を勉強していきました。音楽理論の授業もあったけど、理論の知識はちゃっかり有していた僕はクラスでエリートみたいな扱いに。が、もちろんエリートなわけではない。音楽理論といってもやることは本当に初歩的な部分からなので、音符の知識とか拍子の知識とか、一般人でも知っていそうな所からのスタート。それでも授業が成り立つほど、初心者が多いということ。これは結構意外でしたね。
あとは、野外音響(ライブとか結婚式とか)の技術・映像・テレビの音響・カラオケ・レコーディングの知識など、とにかく音にまつわる仕事については網羅するレベルで色々な授業がありまして、それを2年かけて学んでいく感じ。
この中でおもしろい!と感じた分野を、個人で突き詰めていく、そんなスタンスに感じました。
ちなみに、学校で使用されていたのはiMac。なので当然のようにLogic Pro Xがインストールされていて、それが初めて触れたDAWでした。
ProToolsも入っていたけど、僕はほとんど触らずに卒業したよ()
Mac自体物珍しかったので最初は悪戦苦闘してたけど、慣れてくるとゲームしているみたいでめちゃくちゃ楽しかった。それから、学校にいる時しか触れないことに物足りなさを覚えて、夏休みにMacBookProを購入してクラスアップ。DAWの操作さえ覚えればそれなりの曲が作れたので、クラスでもそこそこ出来るやつに見られるになりました。やったね。
そう、知識と金があれば作曲が出来る。
当時のMacBookProはフルカスタマイズでおよそ36万ほど。もちろん一括では払えないのでローンを組んで、卒業まで払い続けておりました。毎月1万ちょい飛んでいくのは地味にキツカッタナぁ。。
また、定期的にコンテストみたいなものがあって、中にはほかの学科(ゲームや映像・イラストなど)とコラボして制作するものもあります。僕はゲーム・映像の人とコラボしましたが、違う分野の人と何かをするというのは、さながら仕事のような感覚でとても楽しかったです。もちろん、つらいことも多々ありますけれどね。今回はそのあたりは省略。(愚痴みたいになっちゃうので)
一応ゲーム学科とコラボしたときはコンテスト金賞でした。隙自語
大学のような単位制ではあるものの、評価は厳しくないので、普通に出席して課題出していれば進級できます。もちろん定期テストはないです。入ってみるとなかなかゆる~い学校でしたね。なので、全員ガチで音楽を仕事にしたいと思っているかというとそうでもなく、なんとなく入学した人、単に音楽聞くのが好きな人、他に好きなものが無いからという人もある程度いて、そういう人たちに流されてしまう危険性もあります。逆に、やる気のある人たちと仲良くなれば、お互いに切磋琢磨してスキルアップできる良い環境でもあります。ライバルがいると燃えますよね。専門学校ならではの特徴かもしれません。
専門学校は自分のやる気次第で天使にも悪魔にも化ける
まさに魔境なのです。
音楽制作系専門学校の意義
それで、専門で音楽を勉強するのは「あり」なの?「なし」なの?
という話になると思うのですが、個人的には「あり」です。
知識そのものは、大体はネットで拾えるものばかり。ただ、それを探す手間や整理する作業をしてくれるのが専門学校という感覚です。
良いところとして、直接先生に質問したり、自分の作品を見せて批評してもらう環境としては最高の場所だというところ。何よりそういう仲間がいることも制作の支えになりますね。
要するに、専門学校は知識を求めていく場所ではなく、職や人脈を求めていく場所。勉強も仲間もできるハローワークなんです。
なので、ただ知識だけを吸収したい人はオススメしません。年間100万払って行くぐらいなら、それを機材に使ってひたすら家でスマホと参考書を片手に曲を作るほうがよっぽど有意義な音楽活動ができると思います。
ただね、それを実感できるのが3年目からなんですよ。この辺は純粋にビジネスとして良く出来ていているなぁと感じますね。だから、「ここまで来たらもう後に引けないじゃん。。。」っていう状態になってしまう人が結構いました。
なんでこうなるのかというと、3年目からは作曲や効果音制作がメインになるので、インプットよりもアウトプットの時間が圧倒的に増えて、学びとして学校に行っている意味を感じなくなるタイミングなんです。本格的に就職に向けた内容(インターンシップなど)が入ってきたり、より実践スタイルでの授業が多くなるのですが、ここで今まで学んできた知識が必要になってきます。特に2年間サボっていた人はここで躓くわけです。裏を返せば、自分の時間が増えるわけで、この3年目をどう過ごすかで、後に控えている就職活動の明暗が分かれてきます。
とはいえ。
どれだけ頑張ろうと、実際に”明”るい未来が待っているのはごくごく一部だけというのが現実。
こと就活においては専門学校のほうが強いといわれているけれど、それはあくまで学内の特別な募集や推薦に限った話。大半の学生は他の人と同じように活動することになります。
強みといえばそこそこクオリティの高いポートフォリオと新人相当の技術(即戦力性)があることのみであり、それを除けばただの大学生より見劣りするのが専門学生のサガです。
就活は夢見がち
僕はゲーム関係のサウンド職を目指していたので、基本的にゲーム会社で、しかも地元の大阪で就職したいと思っていました。ただ、多数のゲーム会社は東京なので、この時点でだいぶ不利なわけです。案の定、新卒募集で1社良い感じに進みそうだったけど、あえなく面接で脱落。敗因は多分、喋りすぎ&上から目線。結構自信満々に行き過ぎて後から思うとこれ言わんでよかったんちゃうか?ということが結構あったので(涙
東京を視野に入れていない分受けられる会社は限りがあり、10数社受けましたが全部書類で落とされ、音楽・ゲーム関連は全滅したとさ.......
就活が始まるのが早くて1月ごろからなのですが、これは作品制作の期間が含まれているからです。一般的な募集よりもやや早めに動きだします。
で、動き始めってまだ就活の実感がないので、みんなウキウキでスタートするんですが、4月ごろになると大体の人は死んだ魚の目をしてます。4月の時点で大手のメーカーは内々定が決まっているので、この時点で天国と地獄に二分されるわけです。
専門学校生というアドバンテージに期待しすぎて、つい夢を見てしまうのですが、企業からすればそんなことどうでもよくて、ただ良い人材が欲しいだけ。作品はともかく人柄はどの学校かなんて関係ないですし、井の中の蛙になってしまっていると痛い目を見ます。これも専門学校の特徴かもしれないですね.......
ちなみにクラスの内定率でいうと、希望の職種に就けた人は5%前後です。
音楽以外の仕事に就いた人(アルバイト含む)は多分20%くらいかな?
そう考えると狭き門ですよねぇ
で、何を血迷ったのか営業職とか未経験でもできそうなIT関連を当たってみるふくたらう。
実際は血迷ったわけではなく、そういう仕事のほうが自分の成長に繋がると思ったので選びました。本当のハローワークで。
初ハローワーク。行ってみると割と居心地は良いけど、なんでこんなとこいるんだろ感はすごかったですね。現実を見せつけられている感が凄まじかったです。
ちなみに3社ご縁があり、ちゃっかり最終面接までいったんですが、諸事情あってすべて辞退しました。。
この後、なんやかんやあって今の職場にたどり着くわけですが、この”なんやかんや”の部分は詳しく書けないので、気になる人は僕とリアル友達になってください(無茶ぶり)
ただ、専門学校の先生って業界出身の先生なので、そのあたりのコネクションというのはとても大事です。日頃から授業をまじめに受けているだとか、良い作品を作るだとか、先生からの印象が良いと、ひょんなことで得をすることがあります。これは大学のゼミなんかもそうかもしれませんね。これがさっきも書いた人脈を得るための場所、ということです。
おわりに
長々と、ざっくりと、専門学校の中身を書いてみました。
その後ふくたらうは無事「音のお仕事」をしているわけなのですが、普段からTwitter等々見てくださっている人ならわかるかと思いますが、僕はどっちかっていうと効果音の人です。作曲や音響関係で活躍している同級生もいれば、フリーで色々やっている人もいれば、もちろん同業者もいます。
僕はそんな中の一例に過ぎないので、書いたことがすべて正しいわけではないです。が、こういう道をたどった人もいるんだなぁくらいに思っていただければ幸いです。
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