バリバリわんわん!のざくに流動場振り返り その3 「定石は教えるべきか?」「裏に伏せたままポイ捨ての意図」「ホントは2本先取にしたかった」「6人対応ではなく2人専用の方がよかったかも」

前回 その2 の続きです。

定石は教えるべきか?

「先手番のカードを後手番は塞ぐように置くべき」
この定石は説明書、インストの段階で説明しておくべきでしょうか?
「SKULL」をインストする機会が多いのですが、いつもこれは悩みます。

個人的にインストは「ルール」は教えるべきすが、「勝ち方」は教えるべきではないと思っています。
「失敗して自分で気付く権利を奪ってはいけない」
からです。
自分で気付く喜びを奪い、テンプレ行動を叩き込むのは褒められた行為ではないのかもしれません。

ですが、それによって最初のプレイ体験が悪くなり、ゲームとして見限られてしまっては元も子もありません。

SKULLならゲームに不慣れで勘の悪いプレイヤーが居れば、
「チャレンジしたひとは高い確率で薔薇、早々に降りたひとは髑髏の可能性が高い」
くらいのことはどうしても言いたくなります。

バリバリわんわん!に関して言えば、そもそも「先手番のカードを後手番は塞ぐように置くべき」という気付き難い定石が生まれてしまう時点で根本的なルール設計が間違っていた可能性はあります。

伏せて「ポイ捨て」の意図

1ラウンドに1枚だけ裏向きに伏せたまま自分専用のゴミ箱にポイ捨て出来るルールです。

ゴミ箱にポイする

作者の当初予想では、先手番の方が圧倒的に不利なゲームになると思っていました(実際には「その2」で触れた定石があるので先手が有利ですが)。
何故なら埋め埋めフェイズ最終、後手番のプレイヤーにウンコ💩を重ね置かれまくったら、先手番はウンコ💩を引くしかなくなるからです。
それを防ぐ為に明らかにウンコ💩だと読んだときに1ラウンドに1枚だけ裏向きのままポイ捨て(パス)出来るルールにしました。

これにより、

  • 先手番へのウンコ💩集中攻撃の防止

  • カウンティング出来すぎてラウンド後半の興醒め、消化試合感防止

  • 敢えて自分のカードをポイ捨てするなど戦略の多様性を生む

2本先取にしたかった

スカル風2本先取にしていたが…

スカル大好き人間で、スカルを目標にしていたのもあって、当初は

  • 1番得点の高いひと(複数人可)が1本取る(スカル風にカードを裏返す)

  • 2本先に取ったひとが勝利(複数人可)

というルールでした。
しかし、実際にテストプレイを色んな場で繰り返していると

  • 3ラウンド目で「もうこの辺で切り上げない?」っという空気になる

  • 意外と長孝するゲームなので2ラウンドでほぼお腹いっぱいになる

という問題が発生しました。
6人プレイなら最大で7ラウンドのゲームになります。
スカルも実際そうなるのですが、スカルと違って1ラウンドが長く、スカルと違ってラウンドが進むことでのゲーム上の変化(手札が減っていく)もありません。

2R強制にする

なので、
「勝敗がつく前に勝手にゲームが打ち切られてしまうくらいなら、2R強制のゲームにしよう!」
と思い、苦肉の策で「合計点ルール」を採用しました。
なので、合計点は手段であって目的ではないです。

  • 大半のひとは2Rでお腹いっぱいになる

  • 1Rだけだと、ゲームの勝手がわからない内に終わってしまう

じゃあ、「ルール側で2Rを強制してしまおう!」っとなりました。

合計点ルール

最終的にはこのようなカードになりました。

プレイヤーカード兼スコアカード

2R合計の高いプレイヤー(同点なら分かち合う)の勝ちです。

表面0点、裏面1~4点になっている理由

これは、個人的にペンギンパーティー(クニツィア)で遊ぶとき得点マーカーを一切使ったことが無かったので、バリわんでも同様に
「スコアを一切つけずに1回きりのゲームにするひとが出るだろう」
という読みからです。

  •  スコアを付けないひとは表面だけ使う(数字を意識させないデザイン)

  •  スコアを付けるひとは裏面も使う(表麺の丸はゼロを表していたのか!)

となるようにデザインしました。

逆転可能性

このスコアカードは0~4点しか表現できません(マイナス点は無し)。
逆転可能性を高める為にそうしました。
これなら1R目2点先行したとしても2R目に0点に減る可能性が高く、逆に1R目にマイナス点を取ってしまったひとも0点なので、十分に逆転可能性があります。5人以上プレイ時2R合計の理論上最高は10点ですが、このゲームでは自分の宝を自分で掘れる為、宝を独占して取るのはほぼ不可能で、実際にはプラス収支にするのが精いっぱいです。
テストプレイ含め何十回も遊びましたが、2R合計4点に到達した例は1回しか見ていません。勝者は平均2点くらいで終わります。

6人対応ではなく2人専用にすべきだった?

6人対応になった経緯

  1. できれば8人対応にしたいなぁ…多いほどワイワイできるし

  2. イラストの費用と納期的に無理じゃん…

  3. ってかグラフィック社の32枚セットじゃどのみち無理

  4. 6人対応で妥協して、手札5枚×6人、余った2枚は説明書にしよ

  5. 担当している犬を示すプレイヤーカード要るじゃん

  6. (手札5枚+追加1枚)×6=36枚カード要るじゃん

  7. せや、別の32枚セットで追加カードを6種×5枚割り付けて1/5部刷ろ!

  8. 32枚セットのキャラメル箱とは言え、多少は余裕あるやろ…

  9. 36枚とマニュアルを封入しようとしたらギリ入らんかった orz

  10. しゃあない、箱は特注で作ろ!

実際のプレイ感

試しにプレイしてみると、

  • 人数が多いほどコントロール不可で読みが雑な大味展開に

  • 人数が多いほどプレイ時間が長引き、3R目を断れる理由に
    (プレイ人数に応じて手札を減らすルールにすべきでしたが)

  • 2人対戦を試しにやってみたら濃厚なガチ読みあいゲームで想像以上に面白い

特に2人対戦の面白さは完全に想定外でした。
一応、プレイ可能人数「2~6人」にしていましたが、
予想としては
「2人対戦はたぶん全然面白くない、2人専用ルールが必要」
と思い込んでいました。

2人対戦の異常な面白さ

2人対戦をやったことのないひとは是非1度やってみください!
異常な面白さに驚くことかと思います。

  • 2人だと完全に手番をカウントできる

  • 2人だと自分がめくった後に相手がどんな選択肢を迫られるか?その後更に自分がどんな選択肢を迫られるか? 真面目に考えないと勝てない

  • それらを踏まえて、カードを置くときでも全く気が抜けない

本来、これらは3人以上の対戦でも考えてほしいポイントではありますが、
実際には、そこまで真剣に考えてプレイしてくれるひとは稀です。
人数が増えれば増えるほど、予測が多岐に渡り過ぎて、長考コストと実際のリターンが割に合わなくなり、思考を放棄し、漫然と置き、漫然とめくる大味なプレイ感になってしまいます。

先に2人用を出すべきだったか?


終わりに

これらの問題をとあるひとに相談したら、劇的に解決しました!
次はそれについて書きたいと思います。

ボードゲーム「バリバリわんわん!」 のルール上の悩みを「ニカイドウレンジのゲームデザイン相談室」で聞いてみたら1発で解決してスゲー!ってなった話


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?